中国各地でエンボディドAIが発展、産業のモデル転換を促進
最近、中国各地で相次いで開催されている地方人民代表大会・政治協商会議において、多くの地方政府が初めて政府活動報告で「エンボディドAI(Embodied AI)」について言及した。その中で、河南省はエンボディドAIの完成品開発を提案し、広東省は爆発的成長が期待されるエンボディドAI産業に重点を置くことを表明し、四川省は同関連産業のレイアウト作りにいち早く取り組むことを計画し、上海市はスマート工場建設及びスマートロボットのR&Dを引き続き推進しようとしている。
「AI技術は当初の知覚知能から認知知能へ、さらに認知知能から汎用人工知能(AGI)へと進化している。エンボディドAIは認知知能からAGIへの移行において必須な段階であり、極めて重要な技術的段階である。」電子科技大学の沈復民教授は、各地の政府活動報告でエンボディドAIが言及されるのは、この技術がAI技術の進歩の推進に役立つだけでなく、ソフトウェア・ハードウェア、基礎材料、部品などの発展を直接牽引できるためであると分析している。
過去1年間、エンボディドAIは、新興企業がベンチャーキャピタルの投資と支持を集めただけでなく、実力のある大手企業も続々と成果を発表してきた。ファーウェイ(Huawei)と連携パートナーが共同開発したヒューマノイドロボットは非常にリアルな人間の顔を持ち、自然で滑らかな表情・動作を実現している。新エネルギー自動車メーカーのXpeng(小鵬汽車)が自主開発したロボットはすでに同社の広州工場でトレーニングを受けている。
エンボディドAIは身体と環境の相互作用を通じてスマート化を実現することを特徴とする。知的な「頭脳」と知覚・行動能力のある「身体」の協働により、リアルな世界への適応と多様な課題の解決を可能とする。ヒューマノイドロボット、ロボット犬、ドローン、無人自動運転車などは広義のエンボディドAI分野に含まれ、中でもヒューマノイドロボットは代表的な応用例である。
現在、中国の多くの地域でヒューマノイドロボット産業の発展を競い合っており、北京、上海、広東省、浙江省などでは相次いで政策が打ち出され、産業配置も加速している。四川省はAIを同省の「第一イノベーション事業」と位置づけ、四川省AI学院の設立により人材を育成し、中国中西部初のヒューマノイドロボット研究機関「成都ヒューマノイドロボットイノベーションセンター」を創設し、四川具身人形機器人科技有限公司が成都初のヒューマノイドロボットのプロトタイプ「天行者(スカイウォーカー)1号」をリリースした。
中原動力智能機器人有限公司の創設者兼CEOの林傑氏は「エンボディドAIとスマート製造の融合が特に注目を集めている」と指摘した。エンボディドAIの感知・インタラクション能力により、スマート製造システムは生産過程の各種情報をより正確に把握、生産パラメータと技術をリアルタイムに調整し、産業のグレードアップを促進し、伝統製造業のスマート化へのモデル転換を強力に推し進めることができると述べた。
https://www.chinanews.com.cn/cj/2025/01-22/10358278.shtml
2024年 広東省産業用ロボットの年間生産量が24万台突破
2月5日、広東省高品質発展大会が広州市で開催された。データによると、2024年、同省の産業用ロボットの年間生産台数が24万台を超え、全国の44%を占め、5年連続で全国1位となった。
ロボットは「製造業のクラウンの頂点に輝く真珠」と称えられており、新興技術の重要なキャリアであり、生産・生活のスマートツールである。近年、広東省はAIによって様々な産業をエンパワーメントする措置を率先して打ち出し、伝統業界におけるR&D、生産、販売、管理などでのAIの全面的な応用を加速し、国家レベルのスマート製造モデル工場31カ所、先進的「ライトハウス」工場10カ所を建設した。その中で、自動化、「無人化」に対するニーズの高まりが同省のロボット産業のさらなる発展をもたらしている。
美的グループ(Midea Group)は2022年に「全国重点実験室」の建設が承認された、ロボット分野で全国重点実験室の建設を請け負う民間企業である。現在、大型ロボットとその中核部品の試験・検証ラボを数十カ所建設しており、ロボット製造の現地化、デジタル化、スマート化を推進している。
同社の方洪波会長によると、佛山市順徳の「美的庫卡(KUKA)スマート製造科学技術パーク」には、 「ロボットがロボットを生産する 」完全自動化の生産ラインがある。同生産ラインは美的のロボットで構成され、1日24時間ノンストップで稼働することができ、平均30分で一台のロボットが生産され、すでに合計8万台以上の産業用ロボットが生産、納品されている。
「楽聚チームはヒューマノイドロボットの産業化を推進し、率先して全身運動量制御アルゴリズムを提案した。」楽聚(深圳)ロボット技術有限公司(LEJU Robotics)の冷暁琨会長は、同社は2023年に初の跳躍可能で複雑な地形での歩行を実現したオープンソース鴻蒙ヒューマノイドロボットKUAVO(中国語:夸父)を発表し、「新世代AI」プロジェクトとなったと述べた。
現在、広東省はすでに複数の措置を打ち出し、AIとロボットの二大分野に力を集中し、ハイテク、高成長、大規模の新たな産業の柱を構築している。
https://www.chinanews.com.cn/cj/2025/02-05/10363636.shtml
AIが後押しする「グリーン電力」の躍進――黄河上流の「インテリジェント水力発電所」を訪ねて
サーバーに構築されたバーチャル水力発電所に、リアルタイムの発電データが正確に反映される。ロボットが発電機ユニット工場を巡回点検し、マウスクリックで故障箇所を特定できる。春節連休明け、黄河上流に位置する羊曲水力発電所では、国家電投グループ黄河公司羊曲発電分公司のスタッフ達が連休中の運転データを収集し、デジタルツイン技術を駆使したインテリジェント発電所の機能強化に取り組んでいた。
青海省海南チベット族自治州の興海県と貴南県の境界の黄河本流に位置する羊曲水力発電所は、国家が計画・建設する重点水力発電プロジェクトであり、2024年末に総設備容量120万kWのフル稼働を実現した。
従来の水力発電所と異なり、この新設の羊曲水力発電所ではAIとビッグデータを初めて応用し、デジタルツインインテリジェント水力発電所を建設している。AIインインテリジェントシステムが完成すると、将来の水力発電所は自律的な意思決定と自動運転・メンテナンスが実現し、インテリジェント管理水準を向上させることができるようになる。
中央制御室の巨大スクリーンに、羊曲水力発電所の運転データがリアルタイムに表示されている。スタッフは設備を巧みに操作して、デジタルツイン・プラットフォームを開くと、実物大のレプリカ3Dモデルが目に映る。それは画像の細部まで精緻に再現されており、まるで発電所全体がスクリーンに「移動」してきたかのようだ。
「デジタルツイン技術は、発電所にインテリジェントな頭脳を設置するようなもので、運営担当者が水力発電所の稼働状況をリアルタイムに把握し、潜在的な問題やリスクを事前に察知することを可能にする」と、システム建設に携わった中国電建グループ西北調査設計研究院の朱海晨技師は語り、羊曲水力発電所の重要部位には各種センサーが設置され、稼働状況データを収集しており、これらのデータはリアルタイムにシステムのバックエンドに伝送され、AIによる分析・判断を経て、発電所の安定かつ安全な運転を支える防護ラインを構築していると説明した
建設段階では、工学設計担当者はデジタルツイン技術を活用して設計計画案に対し複数回のシミュレーション分析を実施し、ダムの構造パラメータの調整やプラント配線レイアウトの最適化などを通し、建設期間の短縮と同時に建設コストの効果的な削減を実現した。
現在、黄河上流で「最も新しい」水力発電所の一つである同施設は、ビッグデータとAIを技術基盤とするデジタルツインインテリジェント発電所の建設を加速している。国家電投グループ黄河公司羊曲発電分公司生産部の顔増強主任は、現在、デジタルツインスマートプラントプロジェクトの70%超が完成しており、今後、生産工程の精密なシミュレーション、運転故障の自動ドラブルシューティング、業務システムのインテリジェント連携などにプロジェクトの重点が置かれると語った。
http://news.cn/20250207/e69259d316594664ae6417755eb6214d/c.html