中国国家知識産権局が一部専利関連料金の徴収基準と減額政策を調整
中国国家知識産権局はこのほど、一部専利関連料金の徴収基準と減額政策の調整を行った。関連事項の公告内容は以下のとおりである。
一.専利権者が専利権存続期間の補償を請求する場合には、専利権存続期間補償請求料を納付しなければならず、料金徴収基準は1件200元とする。専利権存続期間の補償請求について審査を経て期限補償条件に適合する場合には、専利権の補償期間の年金を納付しなければならず、料金徴収基準は1件当たり毎年8,000元とし、1年に満たない部分は費用を徴収しない。
二.専利開放許諾の実施期間の専利年金を15%減額する。その他の専利関連料金の減免政策を同時に適用する場合には、最も有利な政策を選択することができるが、重複して享受することはできない。
三.「意匠の国際登録に関するハーグ協定」を通じて中国の意匠の国際登録手続きを行う場合に、納付すべき第1期と第2期の個別指定手数料は、中華人民共和国財政部の関連規定に従い減額することができる。
四.大量の表示変更登録請求を通じて出願人(または専利権者)の氏名または名称を変更し、かつ権利の移転と関係がない場合には、1件の変更ごとに書誌的変更登録料を納付する。
五.中国国家知識産権局が受理官庁として受理し、かつ国際調査を行う国際特許出願(PCT出願)の場合には、中国の国内段階に移行する時に出願料および出願関連手数料を免除する。中国国家知識産権局が国際調査報告または特許性に関する国際予備報告書を作成するPCT出願の場合には、中国の国内段階に移行し、かつ実体審査請求時に、実体審査料を免除する。PCT出願が中国の国内段階への移行時のその他の料金徴収基準は国内部分に従い実行する。
六.中国国家知識産権局が世界知的所有権機関などの機構およびその他の国と地域に代わって徴収する料金について、その料金徴収基準と減額規定は中国国家知識産権局と上述の機構、国と地域の間の取決めまたは関連の国際契約に従い実行する。
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
中国マカオ特別行政区経済・科学技術発展局が特許権の拡張に必要な書類を簡略化
マカオ特別行政区経済・科学技術発展局(以下、「経済科学局」という)が2024年6月12日に発表した通告によると、企業が中国マカオ地域において特許ポートフォリオを構築する際に便宜を図り、科学技術成果の実用化を促進するために、経済科学局は申請者が特許権拡張請求を提出する時に事前に国家知識産権局から文書を入手する必要がある旨の要件を免除し、特許権拡張の請求手続きを簡略化した。
12月13日付け第97/99/M号法令により認可された「工業所有権法律制度」第23条第4項の規定に基づき、経済科学局が発表した通告によると、2024年7月1日より、中国マカオ経済科学局に特許権拡張請求を提出する時に、申請者が申請書上でマカオ当局が国家知識産権局から「専利明細書」および「専利登記簿副本」を取り寄せて申請資料とすることを表明し、審査を経て誤りがない場合には、マカオ当局に関連文書を提出したものとみなす。
(出所:集佳知識産権)
中国国家知識産権局とイタリア農業・食料主権・森林省が地理的表示分野における了解覚書を締結
7月28日午後、李強首相とイタリアのメローニ首相の立会いの下、「中華人民共和国国家知識産権局とイタリア共和国農業・食料主権・森林省による了解覚書」が北京人民大会堂で締結された。中国国家知識産権局の申長雨局長とイタリアのアンブロセッティ駐中国大使がそれぞれ両国の主管部門を代表して署名した。
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
典型事例:
集佳が代理人を務めた「DR.MARTENS」が初めて司法により馳名商標認定、「馬丁靴」がフットウェア商品の一般的な名称でなくなる
事件の概要
原告の埃瓦国際有限公司(以下、「埃瓦公司」または「原告」という)は、国際登録第584207号などの「Dr.Martens」に関する一連の商標の全世界における独占的ライセンスを取得した企業であり、中国において「Dr.Martens(ドクターマーチン)」ブランドシリーズ製品のデザイン、生産、宣伝および販売を一手に手掛けている。1960年代から現在に至るまで、「Dr.Martens」ブランドのフットウェア商品はすでに世界の80以上の国と地域で販売され、世界で最も高い知名度を誇るフットウェアの商標ブランドの一つである。2003年より、中国の新聞・雑誌などの媒体ではすでに「DR.MARTENS」およびその商品の宣伝・報道が行われていた。2007年、「Dr.Martens」ブランドが中国市場に参入し、その販売エリアは全国に広がり、当該ブランドは中国国内において極めて高い知名度を誇っている。
被告の汕頭某服飾公司の法定代表者の胡某は、2011年7月に出願し、かつ2012年6月に係争商標と同一商品の「服装、靴」を指定商品として第9780715号商標「Dr.mannar」を登録した。被告の汕頭某服飾公司は天猫、淘宝網、1688などの電子商取引プラットフォームでフットウェア商品を販売し、かつ店舗のトップページや商品のリンクページ、包装箱、包装紙などの多くの場所で「馬丁(「馬丁」は「MARTEN」の中国語表記――訳注)」「馬丁靴」「馬丁鞋」「MARTIN」「Dr.Mannar」などの権利侵害標章を使用した。埃瓦公司は前述の被告の行為が商標権侵害を構成することを理由に上海知的財産権法院に提訴した。
法院の認定
上海知的財産権法院は審理を経て次のように判断した。原告は権利付与を経て、第G584207号商標「DR.MARTENS」(以下、「係争商標」という)について中国において販売・普及を行い、かつ許諾に基づき民事訴訟を提起する権利を有する。係争商標は長期的な宣伝、使用、普及を経て、国内で極めて高い知名度を誇り、その登録を許可された「フットウェア、服装」商品上で馳名商標(著名商標に相当――訳注)に該当する。被疑侵害商品もフットウェア商品であり、しかも被告の胡某は第9780715号商標「Dr.Mannar」を登録していることから、本件において馳名商標の認定の必要性がある。被告の「Dr.mannar」「Dr.Mannar馬丁鞋」「」「」などの標章は原告の係争商標「Dr.Martens」「馬丁 DR.MARTENS」「」などと文字の構成、読み方、中国語・英語表記の意味がすべて類似しており、汕頭某服飾公司は被疑侵害標章をフットウェア関連商品上で使用し、かつ各オンラインショッピングプラットフォームで販売しており、関連公衆に商品の出所が同じである、またはその出所の間に密接な関係があると容易に思わせることにより、商品の出所に対する混同、誤認が容易に生じる。また、本件において「馬丁靴」という表現が法定または習慣化した一般名称であることが証明可能な証拠もなく、逆に、係争商標に関する各種宣伝・報道において「馬丁靴」が係争商標に対応しまたはそれを指すことを具体的に示すことができ、係争商標との間で一定の対応関係が形成されている。したがって、被告の行為は係争商標に対する権利侵害行為を構成する。
最終的に、法院は汕頭某服飾公司、胡某に対して権利侵害行為の即刻停止、影響の除去を命じる判決を下し、かつ懲罰的損害賠償を適用し、埃瓦公司の賠償金300万元の訴訟上の請求を全面的に支持した。現在本件は二審が行われている。
典型事例の意義
本件は馳名商標を用いて悪意のある登録、および権利侵害行為を懲罰する典型事例であり、市場における「フリーライド」「ブランドの不正利用」などの悪意のある権利侵害行為の抑制に役立つ。
集佳が代理人を務めたドイツの有名化学品企業が特許無効審判事件で勝利
事件の概要
シムライズ(Symrise AG、以下、「シムライズ社」という)はドイツのホルツミンデンに本社を構える、世界のエッセンス・香料、食品および化粧品原料、栄養補助食品主要メーカーの1つである。2006年、シムライズ社はフランクフルト証券取引所に上場した。2023年、シムライズ社の所得は47億3,000万ユーロであった。
2023年8月、某無効審判請求人がシムライズ社の「抗微生物組成物」という名称の中国の特許(以下、「係争特許」)に対して特許無効審判を請求し、そこには公開が不十分である、請求項が明細書の記載範囲を超えている、進歩性に欠けるなどの無効理由が含まれている。
シムライズ社は集佳に代理人としてこの無効審判請求に対応することを依頼した。依頼を受けた後に、集佳チームは係争特許および請求人が提出した請求書および大量の証拠資料を入念に検討し、かつクライアントと詳細な議論を行った。これに基づき、無効審判請求における無効理由に対して、逐一詳細な答弁意見を準備し、合議体に提出した。
そのうち、公開が不十分であるとの無効理由について、無効審判請求人は係争特許の実施例にはテスト方法の記載がないと判断した。集佳チームは係争特許の明細書には効果データの明確な記載があり、かつ明細書の別の段落にテストの関連規格の明確な記載があることから、当業者は明細書の記載内容に基づき容易に関連の規格を選択し、テストを行うことができると判断した。請求項が明細書の記載範囲を超えているという無効理由について、集佳チームは各特徴が明細書の記載範囲内である理由を個別に分析し、補足的な実験データを提出し、かつ無効審判請求人が提供した関連の証拠に逐一応答した。進歩性に欠けるという無効理由について、集佳チームは先行技術に技術的示唆が存在せず、反対の教示が存在するなどの反論理由に重点を置いて陳述した。
口頭審理の状況に基づき、集佳チームは実験データをさらに補足することにより係争特許の公開が十分であること、そして請求項が明細書の記載範囲内であることを証明する必要があると判断した。このため、補足的な代理意見を準備し、国家知識産権局に提出した。最終的に係争特許の請求項を変更しない状況の下で、国家知識産権局は専利権の有効性を維持する審決を下した。
本件の決定過程における要点
「実験データのテスト方法が本分野において公知であるならば、当業者は明細書の記載内容に基づき上述の方法を確定することができ、そうでなければ明細書に当該テスト方法が記載されていないことを理由に明細書の開示が不十分であると認定することはできない」。
集佳ニュース:
集佳が「The Trademark Lawyer」の中国「2024年度商標法律事務所Top10」ランキングに栄えある入選
このほど、世界的に有名な商標分野の評価機関である「The Trademark Lawyer」誌が2024年度アジア太平洋地域の商標代理機構ランキングを発表し、集佳知識産権は商標分野における質の高いサービスと傑出した業績により中国「2024年度商標法律事務所Top10」の栄えある称号を獲得した。