中国国家知識産権局が特許審査ハイウェイ(PPH)改善イニシアティブへの参加を表明
特許審査ハイウェイ(PPH)のユーザー体験をより一層向上させるため、中国国家知識産権局は、中国、米国、欧州、日本、韓国の5大特許庁が協力するPPH改善イニシアティブに参加し、2024年のPPHの最初の審査意見通知書(拒絶理由通知)までの平均期間およびPPHにおける出願人意見への応答までの平均期間の目標を3か月に設定する旨を宣言した。これにより、PPHのユーザーは審査期間の予測をよりしやすくなる。
(出典:中国国家知識産権局商標局ウェブサイト)
中国国家知識産権局と米国特許商標庁がバイ会談を実施、新たな協力覚書に署名
4月15日、中国国家知識産権局の申長雨局長は、米国特許商標庁のキャシー・ヴィダル長官一行と北京で会見した。会見において、双方は、両国における知的財産権業務の最新の進捗状況を紹介し、相互の関心事について踏み込んだ意見交換を行うとともに、両庁間の協力覚書の新版に共同調印した。
新版の協力覚書の枠組みの下、米中両庁は、協力分野をさらに拡大するとともに、情報交換、特許・商標審査、自動化、産業連携などの分野で実務協力を深めていく。
(出典:中国国家知識産権局商標局ウェブサイト)
中国-バーレーン特許審査ハイウェイ(PPH)試行を2024年5月1日より開始
「中国国家知識産権局とバーレーン産業商務省との特許審査ハイウェイプログラムに関する覚書」に基づき、中国-バーレーン特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムが2024年5月1日に正式に開始された。期間は2029年4月30日までの5年間である。
中国-バーレーン特許審査ハイウェイ(PPH)試行の開始後、出願人は「中国-バーレーン特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムにおける中国知識産権局(CNIPA)へのPPH申請手続手順」に従って、CNIPAにPPHを申請することができる。「特許審査ハイウェイ試行プログラムに基づくバーレーン産業商務省(MOIC)対外貿易・知的財産局特許庁へのPPH申請手順」に従い、MOICにPPH申請を行う。
付属書:「中国-バーレーン特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムにおける中国知識産権局(CNIPA)へのPPH申請手順」(英文)
付属書:「特許審査ハイウェイ試行プログラムに基づくバーレーン産業商務省(MOIC)対外貿易・知的財産局特許庁へのPPH申請手順」(英文)
(出典:中国国家知識産権局商標局ウェブサイト)
典型事例:
悪意ある登録に対する有名トレンドブランド「EVISU」の取り締まりを支援、司法手続きを通じて「著名商標」の認定を受け、100万元(約2,000万円)の損害賠償を獲得
深セン市中級人民法院は先日、集佳が代理を務めた原告の捷爾普国際有限公司が、羅某、陳某およびその他2社を提訴し、著名商標(中国語は「馳名商標」)の専用権を侵害した事件について、100万元の賠償を命じる一審判決を下し、原告側が勝訴を勝ち取った。本件において集佳は、原告が民事権利侵害と行政権利確定の相互連携による対抗という方法を総合的に用いるためにサポートし、商標権侵害行為を速やかに停止させただけでなく、冒認出願により10年もの間侵害を受けていた登録商標を最終的に徹底排除し、行政訴訟と民事訴訟の全面勝訴を勝ち取った。
事件の概要
原告は、世界的な服飾トレンドブランド「」と「」の登録商標の所有者であり、1990年代から現在に至るまで、独自のデザインスタイルと高度な生産工程で世界的に高い評価を得ている。2005年に中国に進出し、主要な省・市の直営店、大手ECプラットフォーム、有名アーティストによるイメージキャラクター、大手メディアへの広告など、複数のチャネルを通じて権利商標の宣伝・広告を行ってきた。2013年3月、被告羅某は第9類「イヤホン」商品を指定商品として「」の商標を冒認出願し、同年、香港において英文の屋号「EVISU」を使用した「」を登記した。同社の株主は羅某と陳某夫妻の2名である。その後、羅某夫妻は、第9類、第35類などに「Evisu」「」「」「Evisuhf」などの商標を相次いで冒認出願し、また、「Evisu」の標章が付されたパッケージの意匠を出願し、「Evisu」の標章を美術の著作物として登録した。2017年より羅某夫妻は、それぞれが所有する2つの会社を通じて、タオバオ(淘宝網)、アリババ1688卸売サイト、拼多多(Pinduoduo)などのECプラットフォームで、「」「」などの被疑標章が付されたイヤホン商品の販売・宣伝を行った。また、ウェブサイトwww.evisuhf.comに登録し、当該ウェブサイトおよびfacebookとInstagramのアカウント、TikTok(抖音)、テンセント(騰訊)などのオンラインプラットフォームにおいて、香港会社名義の「」にて、被疑標章が付されたイヤホン商品の宣伝を継続的に行った。原告は、羅某ら被告による権利侵害行為を知った2017年から現在に至るまで、商標異議申立、商標無効審判請求、商標三年不使用取消などの行政手続を通じて、途切れることなく積極的に権利を行使してきた。さらに、「」の商標権が商標登録取消審判の確定審決に対する再審の行政手続を経て発効した後の2022年11月に、4被告が共同で著名商標の専用権を侵害したとして、深セン市中級人民法院に提訴した。
事件の評論・分析
本件の難しい点は、いかにして著名商標の保護範囲をより強化することで権利の競合を解消し、区分を越えた保護を得られるかということだけでなく、本件の権利侵害行為の特徴がかなり複雑で、このことは、権利侵害の連鎖の継続期間の長期化、権利侵害の方法の多様化、権利侵害が国内外に及ぶという地理的広がりに反映されている。これに対して、集佳法律事務所のチームメンバーは、広く手がかりを収集し、あらゆる方法で証拠を掘り起こすとともに、当事者と効果的に意見交換を行い、著名商標の証拠の手がかりを総合的に整理し、最終的に、相手方の多様な悪意、登録商標の不適切な使用、周知性の事実を裏付ける確実な証拠、相手方の立証妨害などを突き止めたことで、本件の課題を克服するための強固な基盤を築いた。
典型事例の意義
本件は、民事権利侵害と行政権利確定の相互連携により、悪意ある冒認出願および商標権侵害行為の実施に対抗した典型的な判例である。原告はまず、三年不使用取消行政事件において、被告の「架空取引や関連取引」などの数百件の使用証拠を詳細に調査し、主観的な商標使用の意思と「三年間の象徴的行為」をもとに、相手方の登録商標を取り消すことに成功し、その一方で民事訴訟では、周知性の事実がより十分に立証され、かつ被告の主張する「自社の登録商標の適切な使用」の抗弁に効果的に対応することができた。最終的に、深セン市中級人民法院は、代理弁護士の意見を採用し、権利商標の比較的強い識別性および周知性の事実、被告の主観的な悪意は明らかであり、権利侵害方法が多様で、被疑標章の類似度が高く、立証の妨害を構成するなどの要素を考慮した上で、行政手続きにおける「悪意」の状況と実際の使用における「悪意」の両方について、権利侵害事件に対する包括的な検討内容に組み入れた。これはまさに、行政手続における「悪意」と使用における「悪意」の相互連携を通じて、悪意により登録された商標を継続的に使用する権利侵害行為を効果的に禁止したものであり、事件の定義および損害賠償額をより明確にした。
ドイツ・力魔(LIQUI MOLY)社の代理として偽造潤滑油に対抗、中山法院の支持を受け、70万元(約1,400万円)の賠償金を獲得
集佳が代理を務める力魁魔力有限責任公司(以下「ドイツ・力魔」という)と、保力克潤滑油(珠海)有限公司(以下「保力克」という)らによる商標権侵害および虚偽宣伝による不正競争紛争事件において、先日、広東省中山市第二人民法院は次のように審理、認定した。保力克公司らが「潤滑油」「エンジンオイル」などの製品に「」、「」、「」の標章を使用する行為は、ドイツ・力魔の登録商標「」、「」、「力魔」の専用権を侵害している。また、保力克公司は、被疑潤滑油とエンジンオイルに対し、ドイツから輸入されたものと称し、パッケージにドイツの国旗と「GERMAN TECHNOLOGY」の表現を使用しており、これは虚偽宣伝による不正競争を構成するとし、70万元の賠償を命じる判決を下した。
事件の概要
1957年に設立され、ドイツのウルムに本社を置くドイツ・力魔は、高品質の潤滑油、エンジンオイル、添加剤、カーケア製品などを手がける世界的に有名なメーカーであり、世界130以上の国・地域で販売されており、また、ポルシェ、BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ、フォルクスワーゲン、オペルなどの有名自動車メーカーの認証を受けている。ドイツ・力魔は2005年に中国本土の市場に進出し、カーラリーなどのスポーツイベントのスポンサーを長年務めたほか、「自動車グラフィック年間トップブランド」「カーテック杯自動車サービス金勲賞」「自動車サービス世界推薦ブランド」など、業界で影響力の高い賞を受賞している。「」、「」「力魔」の商標は、業界内できわめて高い認知度と名声を誇っている。
被告の保力克公司は、「」「」「」の標章が付された潤滑油、エンジンオイルなどの製品を生産、販売し、WeChatミニプログラム、オフライン提携店舗などを通じて販売していた。(以下複数画像に示すとおり)
裁判の観点
商標権侵害の認定に関し、広東省中山市第二人民法院は次のように審理、認定した。「」「」「力魔」の商標は高い知名度を有しており、被疑標章の「」「」「」と権利商標は、配列構造、文字構成、吹き出し、背景色、視覚効果、中国語の意味などにおいて類似しており、潤滑油の同一商品に使用されることにより、関連公衆に両当事者の製品が同一主体の一連の商標に由来するものであり、または特定の関連性があるとの誤認を容易に生じさせるものであり、その結果、誤認・混同を生じ、商標権侵害を構成するとして、保力克公司らに対し、被疑権利侵害行為の即刻停止を命じる判決を下した。
虚偽宣伝による不正競争行為について、法院は次のように判断した。保力克公司は、被疑潤滑油とエンジンオイルに対し、ドイツから輸入されたものと称して、パッケージにドイツの国旗と「GERMAN TECHNOLOGY」の表現を使用しており、保力克公司が製造・販売するエンジンオイル、潤滑油のブランドや技術などがドイツ由来のものであると関連公衆に容易に誤解を生じさせるものであり、真正性や客観性に欠け、一般の関連公衆に対し、宣伝された商品やサービスについて誤った認識や誤解を与えることになり、虚偽宣伝による不正競争行為を構成する。
賠償額について、法院は、保力克社らの権利侵害行為の性質、主観的過失の程度、権利侵害期間、事案の帰結、およびドイツ・力魔の商標が市場に与える影響の大きさ、知名度などの要因を総合的に考慮し、経済的損失と合理的な支出で合計70万元とすることを決定した。
事件の意義
本件を通じて、集佳はドイツ・力魔公司に協力し、市場に出回っている偽造潤滑油製品を取り締まり、中国市場におけるドイツ・力魔の知的財産権を保護することに成功しただけでなく、偽造製品の購入により消費者が受ける経済的損失を回避させることにも成功し、本件には何よりも知的財産権の保護に対する中国政府の取り組みと努力が結果に反映されており、国際企業が中国に投資するための、より安定した透明性の高い法的環境の創出を実現した。
集佳ニュース:
集佳が代理を務めた事例が最高人民法院の「2023年中国法院知的財産権10大事件」および「知的財産権の典型事例50件」に選出
4月22日午前、最高人民法院は知的財産権啓発週間に関する記者会見を開き、2023年における全国の法院における知的財産権司法保護の全体状況、知的財産権保護に関するショートフィルムの収集に関する状況を紹介するとともに、2023年中国法院知的財産権10大事件および知的財産権の典型事例50件を発表した。
集佳が代理を務めたシャトー・ラフィット・ロートシルトの「某シャトーと南京金某酒業有限公司らの商標権侵害および不正競争をめぐる紛争事件」[最高人民法院(2022)最高法民終313号民事判決書]が、知的財産権10大事件に選出された。この事件は12件の知的財産権重点周知事件の一つである。本件において人民法院は、法に基づき、国内外の当事者の正当な権利・利益を平等に保護し、ブランドの不正利用、「ただ乗り」行為を厳しく取り締まり、法に基づき、外国の権利者の正当な権利・利益を保護し、知的財産権の保護に関する外国の投資者の懸念に迅速に対応し、司法保護による平等な保護の強化、および市場化、法治化、国際化したビジネス環境の積極的な創出という重要な特徴を体現した。
また、集佳が代理を務めた徐氏米業らの「李某繁、大安市裕某糧貿有限公司および前郭県徐某米業有限公司らによる著作権侵害および不正競争紛争事件」[吉林省高级人民法院(2023)吉民終127号民事判決書]が、知的財産権の典型事例50件における著作権帰属、著作権侵害および著作権非侵害確認紛争事件として選出された。本件の判決は、美術の著作物と一定の影響力を有する包装装飾について、保護意図と保護境界の差異を明らかにし、実質的類似と混同性類似の判断において考慮すべきそれぞれの要素を定義しており、著作権侵害と包装装飾の模倣の双方の司法判断に対して参考となる重要な意義を持つ。
集佳法律事務所2023年度知的財産権10大典型事例
1.「小米之光」電気自動車による著名登録商標の独占使用権侵害事件
2.「楽心」スマートブレスレット未登録著名商標の権利保護事件
3.「港記周六福」無効審判請求事件
4.「金沙古醬」商標権侵害事件
5.テンセント(騰訊公司)と雲希公司の「快客管家」ソフトウェア不正競争に関する紛争事件
6.海南妙遊らによる比特漫歩のゲーム広告映像権利侵害応訴事件
7.黄漢彬氏が中国国家知識産権局を提訴した専利無効行政紛争事件
8.李寧公司「アッパー生地」の専利権侵害応訴および無効審判請求事件
9.睿創の悪意ある訴訟賠償事件の二審および再審請求棄却事件
10.米国某有名会社vs.中国国家知識産権局の特許拒絶査定不服審判行政訴訟事件
集佳上海分所が代理を務めた事例が上海黄浦法院知的財産権保護強化10大事例に選出
上海市黄浦区人民法院は先日、知的財産権保護強化10大事例を発表し、集佳上海分所が代理を務めた「某集団公司、某集団公司某眼鏡公司が某電子商務公司を提訴した商標権侵害紛争事件」が選出された。
本件は「老舗」の知的財産権保護の典型事例として、『人民法院報』と上海テレビ局の「法治ニュース」番組で注目され報道された。この事件は、ECプラットフォームにおいて継続的な権利侵害に直面している「老舗」企業の権利保護の苦境の問題について、社会から大きな注目を集めた。
集佳が代理を務めた事例が陝西省法院の知的財産権司法保護の典型事例に選出
4月23日、陝西省高級人民法院は、2023年に陝西省法院の知的財産権裁判を強化し、「4つの経済」の発展を促進した典型事例10件を発表し、集佳が代理を務めた「上訴人某技術公司と被上訴人某商貿公司、賈某松、劉某、林某燕との商標権侵害紛争事件」が選出された。
陝西省高級人民法院は、本件の二審法院において、「防御商標と個別案件における著名商標の認定との関係を明らかにし、権利者が防御商標を有するという事実は、権利者が個別案件において著名商標の認定を請求し、ひいてはその合法的な商業利益を保護するための法的障害はならないということを深く分析した」と評価した。市場主体が企業ブランドと商業的信用を蓄積するために行った困難な努力を十分に尊重し、企業の誠実な経営を奨励し、民族ブランドを大きく強くするための強力な司法保護を提供した。
集佳上海分所が代理を務めた事例が2023年吉林省知的財産権司法保護の典型事例に選出
4月23日、吉林省高級人民法院は記者会見を開き、吉林省法院における知的財産権司法保護の状況と典型事例について対外発表を行った。集佳が代理を務めた「前郭県某米業有限公司、前郭県某合作社、西昌市某糧食油経営部、布拖県某糧食油店と李某某、大安市某糧貿有限公司との知的財産権および競争に関する紛争事件」が典型事例として選出された。本件はまた、最高人民法院が最近発表した2023年中国法院典型事例50件に選出された。
集佳がAsia IP 2024年度中国地区で多数の大賞を受賞
国際的な権威ある知的財産権メディアである「アジア知的財産権」(Asia IP)は先日、2024年度中国知的財産権大賞(2024 China IP Awards)の受賞者リストを発表した。集佳は、知的財産権分野における卓越した業績、業界からの評価、優れた市場評価により、「商標権確定」、「専利権確定」、「専利訴訟」、「2024年度権利保護事務所」の4大推薦リストに再びランクインし、さらに「2024年度北京事務所」の大賞を2年連続で受賞した。