世界のイノベーションクラスター上位100、中国のランクイン数が4年連続で最多
9月8日、世界知的所有権機関(WIPO)は、2026年版「世界のイノベーションクラスター上位100」のランキングを発表した。中国はランクインしたイノベーションクラスター数で4年連続最多となり、深セン—香港—広州クラスターも2年連続で世界1位となった。
世界のイノベーションクラスター上位100には、中国から25のクラスターがランクインし(中国台湾地域の台北—新竹クラスターを除く)、前年から1つ増加した。第2位は米国で、計20のクラスターがランクインし、以下、ドイツ(7)、英国(4)、インド(4)、日本(3)、韓国(3)、カナダ(3)が続いた。世界の上位15クラスターは、順に深セン—香港—広州、東京—横浜、サンノゼ—サンフランシスコ、ソウル、北京、上海—蘇州、ニューヨーク、ロンドン、ボストン—ケンブリッジ、パリ、大阪—神戸—京都、ロサンゼルス、杭州、サンディエゴ、南京となっている。
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
中国国家知識産権局、第26回中国専利賞の受賞一覧を発表
国家知識産権局と世界知的所有権機関(WIPO)はこのほど、「無線通信に用いる方法及び設備」など30件の特許に中国専利金賞を、「携帯電話及びその本体」など10件の意匠に中国意匠金賞をそれぞれ授与することを決定した。また、国家知識産権局は、「高比率新エネルギー電力システムの電圧応答リアルタイム制御方法及び装置」など59件の特許に中国専利銀賞を、「ハンディスチーマー」など15件の意匠に中国意匠銀賞を、さらに、「蒸気・電動デュアル駆動システムのマルチエネルギー出力制御方法及びシステム」など535件の特許および実用新案に中国専利優秀賞を、「光学誘導式搬送車」など48件の意匠に中国意匠優秀賞をそれぞれ授与することを決定した。
リスト詳細:https://www.cnipa.gov.cn/art/2026/8/28/art_75_207884.html
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
中国・シンガポール特許審査ハイウェイ試行プログラムが延長
中国国家知識産権局とシンガポール知的財産庁の共同決定に基づき、中国・シンガポール特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムが2026年9月1日から5年間延長され、2031年8月31日まで実施される。出願とその対応出願について、優先日または出願日のうち最先の日付が同一であれば、本試行プログラムへの参加を申請することができる。
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
典型事例:
浙江省杭州市市場監督管理局による孫某の大規模AIモデルに係る営業秘密侵害事件の調査・処分
(一)事件の概要
大規模AIモデルが急速に発展し、技術が日進月歩で進化する中、企業では、プロンプトエンジニアリングやエージェントスキルパッケージなどの新たな類型の技術情報を営業秘密として保護する傾向が強まっている。2011年7月、孫某は杭州市の某人工知能(AI)企業(以下、「権利者」という)に入社し、シニアアルゴリズム専門家として勤務し、2025年7月に離職するまで、特定分野のAIインテリジェント審査モデルの研究開発を全面的に主導し、モデルの中核的な機密資料を把握していた。2023年12月、孫某は在職中、配偶者名義で法原(杭州)科技有限公司(以下、「法原公司」という)を設立し、実質的に支配していた。2024年6月には、法原公司が権利者と同種のAIモデルを研究開発するため、権利者のAIモデル専用プロンプトテンプレート、審査ルール、アノテーション基準などの関連資料を同社の研究開発担当者に送付した。業界の専門家による検証の結果、これらの資料を組み合わせて構築された、利用場面に応じたAI審査の統合ソリューションは、非公知性、商業的価値、企業による秘密保持管理の要件を備えており、AIの特定分野における新たな統合型技術に係る営業秘密に該当するとされた。
(二)法律の適用および処罰
孫某は、アルゴリズムに関する中核的な機密情報を取り扱う従業員として、2011年7月の入社時に特別秘密保持契約を締結しており、在職中および離職後のいずれにおいても秘密保持義務を負っている。孫某が権利者の中核的な機密資料を無断で開示した行為は、《中華人民共和国反不正当競争法》(2019年改正)第9条第1項第3号および第2項の規定に違反する。2026年5月28日、杭州市市場監督管理局は、諸事情を総合的に考慮し、同法第21条の規定に基づき、孫某に営業秘密の漏えいおよび第三者への使用許諾の停止を命じ、かつ35万元の過料を科した。法原公司による営業秘密侵害行為については、別件として処理される。
(三)事件の評価・分析
本件は、中国初の特定分野向け大規模AIモデルを巡る営業秘密事件であり、AI業界における従来の法執行の枠を超えるものとなった。これまでAI関連の知的財産権保護はソースコードの権利確定に偏りがちだったが、本件ではこうした「ソースコードに偏った従来の考え方」から脱却し、AI業界の特性に即した観点から、自然言語を用いた統合ソリューションや非標準的な運用ルールも、それぞれ単独で営業秘密を構成し得ることを明確にした。本件の調査・処分は、AIの非標準的な統合技術について営業秘密の該当性を判断するための道筋を探るものであり、中国国内のAI業界における営業秘密の法執行上の空白を埋めるものとなった。また、アルゴリズム人材の流動、同業他社によるAIの研究開発、科学技術イノベーション企業における機密データ管理について、コンプライアンス上の一線を示し、AI産業の秩序ある発展とイノベーションを後押しするものとなった。
(事例出所:国家市場監督管理総局「営業秘密侵害典型事例」)
AIを利用して他社製品の虚偽の評価記事を生成し、それに便乗して自社製品への誘導を図る行為は不正競争に該当——某科学技術会社と某ソフトウェア会社などによる商標権侵害および不正競争紛争事件
事件の概要
某科学技術会社は、主に進銷存(販売・仕入・在庫管理)ソフトウェア製品の販売などを手掛けており、某ソフトウェア会社はその同業他社である。某ソフトウェア会社は、「進銷存」を語根として、AIを利用して記事のタイトルを大量に生成した上で、AIに各タイトルに対応する記事を自動生成させた。記事の内容はいずれも、某科学技術会社の進銷存ソフトウェアの紹介と評価に関するものであった。某ソフトウェア会社はこれらの記事を自社ウェブサイトに掲載するとともに、記事の前後に自社の進銷存ソフトウェア製品へと導くリンクを設置した。某科学技術会社は、こうした某ソフトウェア会社の行為が不正競争に当たるとして、法院に提訴した。
判決結果
江蘇省無錫市新呉区人民法院は一審において、某ソフトウェア会社が人工知能(AI)などのツールを利用して、他社の「進銷存」ソフトウェアの紹介・評価に関する記事を大量に生成し、そのうち「某進銷存ソフトウェア」の文言を含む複数の記事を自社の公式ウェブサイトに掲載した行為について、その目的は、検索エンジンの自然検索の仕組みを利用して、同社の公式ウェブサイトに掲載した複数の関連記事が検索され、関連する公衆の検索結果に表示されるようにすることで、こうした公衆に記事内に設置した自社製品へのリンクをクリックするよう誘導し、自社への流入を図ることにあり、また、この行為は、某科学技術会社へのユーザー流入と取引機会を減少させるとともに、インターネット上に大量の低品質な情報を氾濫させてデータ汚染を引き起こし、競争秩序を乱すものであり、不正競争に当たると判断した。一審法院は、某ソフトウェア会社に対し、某科学技術会社に相応の経済的損失を賠償するよう命じた。この一審判決はすでに法的効力を生じている。
典型事例の意義
本件は、反不正当競争法の一般条項を適用して、新たな類型の不正競争行為を規制した典型事例である。判決では、AI技術を利用して虚偽の評価記事を大量に生成、掲載し、それに便乗して自社の製品またはサービスへの誘導を図る行為は、信義誠実の原則および商業道徳に反し、他者の取引機会を不当に奪う不正競争行為に当たることが明確にされた。本件は、反不正当競争法の一般条項を慎重かつ適切に適用し、新たな類型の不正競争行為を効果的に規制するとともに、新興分野における競争秩序を法に基づき整備する上で、参考となるものである。
(事例出所:最高人民法院「2026年人民法院不正競争防止典型事例」)
集佳ニュース:
金賞3件、銀賞6件!集佳が代理人を務めた21件の専利が第26回中国専利賞を受賞
8月28日、国家知識産権局は、「第26回中国専利賞の授賞に関する決定」を公表し、イノベーションの実践や経済・社会の発展の推進などの面で顕著な貢献を果たした専利権者、発明者(考案者・創作者)および関係組織を表彰した。集佳が代理人を務めた21件の専利も受賞一覧に名を連ねた。その内訳は、2件の中国専利金賞、1件の中国意匠金賞、6件の中国専利銀賞、9件の中国専利優秀賞および3件の中国意匠優秀賞となっている。
受賞リスト:https://www.unitalen.com.cn/html/report/26082157-1.htm
集佳が『The Trademark Lawyer』誌の中国エリア「2026年商標法律事務所トップ10」に選出
国際的な商標評価機関である『The Trademark Lawyer』誌が選ぶ「2026年アジア太平洋地域商標法律事務所ランキング」が発表され、集佳知識産権が、中国エリア「2026年商標法律事務所トップ10」に選出された。
