機械的なツールからデジタルパートナーへ、AIは次の段階へと進化
大規模モデルの継続的なブレークスルーに伴い、AIエージェントが徐々に私たちの生活に入り込んでいる。今年に入り、北京、上海などで関連政策が相次いで打ち出され、スタートアップ企業からテクノロジー大手企業までがAIエージェントのレイアウトを加速している。2025年、この新興技術は、「ツール」から「パートナー」への質的転換を遂げている。
先ごろ、上海で開催されたこのイノベーション技術大会において、スタッフから紹介されたスーパーAIエージェント搭載のコンピューターは、スマートフォン内の複数の写真を選択すると、AIエージェントが自動でシーンを識別してBGMを付け、最後にワンクリックでソーシャルメディアに投稿できるというもので、手動操作は一切不要であった。それができるのは、AIエージェントにマルチモーダルデータに対する理解力と複雑なタスクの分析能力があるからだ。
百度(Baidu)はAI開発者カンファレンスで、マルチAIエージェントコラボレーションアプリケーション「心響(Xinxiang)」を発表した。自然言語を通じて、複数分野のAIエージェントを呼び出し、タスクをサブステップに分割し、リソースを自発的に利用し、最終的に直接使用可能な視覚化された結果を生成する。旅行計画、健康相談、データ分析、クリエイティブ制作など10の主要シーンの200種類以上のタスクをカバーしている。
快手(Kuaishou)が発表した「可霊(Kling AI)」は、ユーザーがテキスト、画像などのマルチモーダル情報を入力するだけで、動画コンテンツがインテリジェントに生成され、専門家以外の人でもカメラを扱うことができる。
コンセプトから大規模商用化まで 「次世代AI」をいかに定義するか?
技術のイテレーションと市場ニーズの高度化に後押しされ、AIエージェントは概念実証から大規模商用化へと進んでいる。この「次世代AI」と見なされる技術は、いったいどのように定義されるのか。そして、人間と機械との関係をどのように再構築するのか。
AIエージェントは通常、自主感知、思考、行動を備えたハイレベルのAIシステムを指し、複雑なタスクを実行し、意思決定をするために理解、学習、推論を行うことができる。
中国情報通信研究院(CAICT)技術・標準研究所エンジニアの龔正氏によると、これまでの大規模モデルは、主に認知と推論の面で優れており、思考、要約、分析能力に重点を置いていたが、資料の検索、ドキュメントの読み取り、インターフェースの呼び出しなどを自発的に行うことができなかった。AIエージェントの出現は、まるで大規模モデルに「手」と「目」を装備したかのようで、タスクのニーズに基づき、様々なツールを自律的に活用して、情報取得から分析・意思決定、コンテンツ生成までの完全なクローズトループを実現できる。
「人間らしい」特徴が、AIエージェントを従来の技術と区別する核心的な特徴である。AIエージェントは、マルチモーダル情報を理解できるだけでなく、記憶能力も備えており、経験の蓄積を通じて意思決定のルートを最適化できる。AIエージェントは、この進化した能力により、物理世界とデジタルサービスをつなぐ「スーパーエントランス」となり、スマートオフィスのシーンでは、レポート生成やデータ分析を支援し、クリエイティブ分野では、画像・テキストのデザインやコンテンツ制作をサポートし、ユーザーサービスのシーンでは、24時間体制で正確な対応を実現できる。
2025年の世界のAI市場規模は2兆3,000億元を突破すると予測されている。 AIエージェントは中核的な原動力と見なされ、産業チェーンは多層的で全方位的な特徴を示しており、基本的なコンピューティング・パワーへのサポートから垂直的な応用までカバーしている。今後5年間、世界のAIエージェント市場規模は、40%を超える年平均複合成長率で成長すると予想されている。
AIエージェントが新しい職業を生み出し 産業協力のパラダイムを再構築する
工業、医療などの分野においてAIエージェントが深く浸透するに伴い、伝統的な産業はデジタルトランスフォーメーションを遂げており、これと同時に、3つの新しい職種が生まれ、人間と機械の協力モデルが新たな段階に入った。
中国石油石化企業情報技術交流大会の会場で、企業がAIエージェントと産業の融合に関する多数の事例を持ち寄っていたのが目に留まった。中国最大の油ガス田である長慶油田では、5万本以上の油井がAIエージェントとの連動により自動制御を実現している。この石油・ガス業界をサポートする専門家AIエージェントは、石油・ガス業界分野のクロスボーダーの大量の知識を蓄積しており、専門家並みの専門知識と理解力を備えている。
人間と機械の協力という新たなモデルのもとで、AIエージェントは標準化された反復的で複雑なタスクを担い、人間は創造的、意思決定的な業務に専念する。双方が互いの強みを補完し、共同で仕事の効率と品質を向上させる。個人のデジタルアバターから業界の専門アシスタントまで、AIエージェントは、人間と機械が協力する新しい仕事のモデルを切り開くだけでなく、全く新しい職業の就労機会も創出している。
https://www.chinanews.com.cn/cj/2025/05-25/10421580.shtml
インテリジェンスが万物を繋ぐ 全国初のAIデバイス展が深圳で開幕
2025グローバルAIデバイス展および第6回深圳国際AI博覧会(GAIE)が5月22日、深圳会展センター(福田)で開幕した。「AIoT・端末が切り開く未来」をテーマに、3日間の会期において1,000点以上のAIデバイス製品と最先端技術が登場した。
今回の博覧会は中国初のAIデバイス展であり、展示規模は25,000平方メートルで、5つのコア展示エリアと10の応用シーンが設けられ、世界15の国・地域から300社以上の企業が集結し、様々な業界におけるAIの最新の応用シーンを展示した。AIスマートフォン、AI パソコン、AIタブレット、大規模モデル一体機、AIウェアラブル・デバイス(スマートグラス、スマートウォッチなど)、AI映像設備、スマートホーム製品、産業用AIデバイス、その他の新型AIデバイスの九種類のAIデバイスが重点的に展示され、全産業チェーンの「コア技術-デバイス製品-大規模モデル応用」がカバーされている。
展示会では、ファーウェイなどのテクノロジー大手がHarmonyOS PCや昇騰AI一体型機種などのベンチマーク製品を展示し、基礎技術の飛躍的進歩を披露した。雲天励飛、北科瑞声など23社のユニコーン企業や急成長企業は、多次元触覚の巧みなハンド、AI生理学的モニタリングロボットなどの革新的成果を通じて、細分化された分野の専門的な奥深さを示した。
「スマート端末展示エリア」では、Honor(栄耀)が設置したAIスマートフォン展示、全エコシステムの相互伝送、AIエージェントなど10の体験エリアが大きな注目を集めた。栄耀端末股份有限公司製品ラインの方飛社長は、展示会の基調講演において、同社のAIデバイス分野における技術的レイアウト、エコシステム計画と将来のビジョンについて説明し、国内で初めてHonorの「アルファ戦略」を技術的に解釈し、Model Context Protocol(MCP)などのオープンプロトコルを採用して、AIデバイスエコシステムを構築していくと発表した。
「AIエージェントは、ハードウェアとエコシステムを同時に牽引でき、エコシステムパートナーとユーザーに、より豊かでシームレスなマルチデバイス相互接続体験をもたらすことができ、それは物理世界とデジタル世界をつなぐ最も理想的な架け橋となるだろう。AIエージェント駆動型スマート端末は、スマート端末をツールからパートナーへとモデル転換させるだろう」と方飛社長は語った。
「ロボットと人間のインタラクション展示エリア」では、衆擎(Zhongqing)ヒューマノイドロボット、帕西尼(Paxini)触覚センシングロボットアームなどの最先端成果が注目を集めた。香港中文大学(深圳)スマート医療の謝長有氏が率いるチームが長年の研究開発を経て発表した「天禽AI中医脈診器」は、来場者に体験を促した。この脈診器は、中国医学の「寸口三部九候臓腑」の脈診の考え方に基づき、3台の高精密モーターを駆動し、3つのセンサーがそれぞれ人体の寸、関、尺の位置に動的かつ正確に圧力をかけ、伝統的中国医学で用いられる「三指搭脉技法(3本の指による脈診法)」をシミュレートし、高精度のデータのフィードバックを取得する。
AIグラス展示エリアは今回の国際博覧会のハイライトの一つであり、音声インタラクション、動的視覚知覚、軽量光学モジュールなどのコア技術のブレークスルーに伴い、マルチモーダルインタラクション能力を融合したスマートグラスが力強く市場に参入している。
関連データによると、2024年の深圳市全体のAI産業クラスターの付加価値額は前年比12.7%増の747億5,300万元に達した。現時点で、市内のAI企業数は2,600社を超え、前年比10%近く増加しており、そのうちユニコーン企業は6社である。産業チェーンは完備され、チップ、モデル、ハードウェア、応用などの全プロセスがカバーされている。
博覧会開幕式で、深圳市AI及びエンボディドロボット産業基金が正式に発表され、深圳市AIグラス産業連盟が正式に発足した。
https://www.chinanews.com.cn/cj/2025/05-22/10420261.shtml