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知財ニュース - June 2025

CCPIT Patent & Trademark Law Office China


『中国裁判所の知的財産権案件における法律の適用に関する年次報告(2024年)』(商標の概要) 中国最高裁判所は4月21日、『中国裁判所の知的財産権案件における法律の適用に関する年次報告(2024年)』を発表した。この報告書は、全国の裁判所が2024年に裁判終了した知的財産権案件から43の法律適用規則を整理したものであり、その中の商標案件の判決要旨は以下の通りである。 1.地理的表示証明商標権侵害の判断の考察要素 【判決要旨】被疑侵害行為が地理的表示証明商標権侵害に該当するか否かを判断するには、以下の要素を考察する必要がある。第一に、被疑侵害商品が地理的表示商標の使用条件(当該商品が特定の産地に由来すること)を満たすかどうか。第二に、被疑侵害商品が地理的表示製品の特質を有するかどうか。第三に、被疑侵害行為は関連公衆に商品の出所及び特質について誤認混同を生じさせるかどうか。 2.商標の先使用権抗弁の認定 【判決要旨】商標の先使用権抗弁を適用するには、先使用者と登録商標専用権者の利益のバランスをとる必要がある。同一または類似の商品において、他人の登録商標と同一または近似し、一定の影響力を有する商標を善意で先使用していた場合、先使用者は従来の範囲内でその商標を継続して使用する権利を有する。ただし、先使用が商標出願日より早くても、商標登録者の使用時期より遅く、先使用者の「知る状態または知り得る状態」などを裏付ける証拠がある場合、先使用権抗弁を認めるべきではない。 3.景勝地名の正当な使用の認定 【判決要旨】標識が単に景勝地名を示し、または当該景勝地の関連内容や特徴を説明・記述するために必要な範囲のみで使用され、関連公衆が一般的な注意を払い日常生活の経験を結び付ければ、商品・役務の出所を混同しない場合、当該標識は正当かつ合理的な使用に該当し、商標権侵害とはならない。 4.権利侵害による利益を証明する証拠がある場合、それが優先的に賠償額算定の基準になる 【判決要旨】商標法第六十三条は損害賠償額の算定方法の適用順位を規定しており、裁判所は損害賠償額を確定する際に、権利者の実際の損失、権利侵害者の権利侵害による利益、および合理的な使用許諾料を優先して算定しなければならない。実際の損失、権利侵害による利益、使用許諾料のいずれも算定が困難な場合に限り、法定賠償を適用する。 5.小売サービスと「販売促進の代行」サービスとの類似性判断 【判決要旨】商品の販売者が末端消費者に提供する小売サービスは、目的・内容・方法・対象を見ると、第35類「販売促進の代行」サービスと高度な類似性を有する。小売サービスの提供において、第35類「販売促進の代行」商標と同一の標識を許諾なく使用し、関連公衆にサービスの出所を混同させやすい場合、商標権侵害を構成すると認定しなければならない。 6.医薬品商標権侵害案件における標識の寄与率の算定及び懲罰的賠償の適用 【判決要旨】1.医薬品商標権侵害案件では、医薬品分野のマクロな発展動向、消費者が医薬品を購入する際のミクロ的視点、特定医薬品業界への参入ハードル、先発医薬品とジェネリック医薬品の技術的区別、製薬企業自体の知名度等を総合的に考慮し、被疑侵害医薬品の収益への係争標識の寄与率を合理的に算定しなければならない。  2.被疑侵害者が権利者の株主で同業事業者であり、株式保有関係の終了後、同一商品において権利者の商標に近似する標識を登録出願して使用し、かつ行政判決で当該商標の無効審決が確定した後も侵害行為を中止せず、関連医薬品が高度警戒薬、紛らわしい薬に属し、侵害行為が人の健康を害する可能性がある場合、商標法が規定する「悪意の商標専用権侵害であり、情状が深刻」な状況に該当し、法により懲罰的賠償を適用できる。 7.商品の外観で商標を出願した場合の識別力判断 【判決要旨】商品の外観の形で出願した係争商標について、出願人が、実際の使用行為を通じて関連公衆に当該商標を単なる商品の外観だけでなく、商品の出所の識別標識として認識させていたことを裏付ける十分な証拠を提出できない場合、係争商標は識別力を有しないと認定される。 8.商標登録が他人の先行ドメイン名の権利を侵害するか否かの認定 【判決要旨】係争商標登録が他人の先行ドメイン名の権利を侵害すると認定するには、以下の要件を同時に満たす必要がある。ドメイン名が先に登録され、一定の知名度を有すること、ドメイン名の運営者が提供する商品・役務が係争商標の指定商品・役務と同一または類似すること、さらに係争商標が当該ドメイン名と同一または近似し、関連公衆の混同誤認を招きやすいことである。ドメイン名の運営者が提供する商品・役務における宣伝・使用証拠は、知名度認定の事実上の根拠とすることができる。 9.商標法第四十四条「その他の不正手段による登録」の適用 【判決要旨】係争商標が商標法第四十四条第一項の「その他の不正手段による登録」に該当するか否かを判断する際、単に商標出願人の出願商標数が一定規模に達したことだけをもって「その他の不正手段による登録」に該当すると認定するのは適切でない。係争商標には本当に使用される意思があり、または実際に商業利用されていることが証明でき、かつ係争商標の出願に合理性または正当性がある場合、一般的には、係争商標が本条にいう情状に該当すると認定するのは適切でない。 10.商標の3年連続不使用取消審判における指定商品の認定 【判決要旨】係争商標を実際に使用した商品が『類似商品・サービス区分表』の標準商品名に該当しないものの、当該商標の指定商品と基本的に同一商品、または実際に使用した商品が指定商品の下位概念の商品である場合は、指定商品上の使用として認められる。『類似商品・サービス区分表』が係争商標登録後に変更された場合も、上記認定に影響を及ぼさない。 11.ゲーム生配信プラットフォームの行為が「販売促進の代行」サービスに該当するか否かの認定 【判決要旨】ゲーム生配信プラットフォームが自社のトラフィックとユーザーリソースによる優位性を利用し、ゲーム生配信・ゲームダウンロード・フォーラムの提供・プロモーション活動の企画等を通じて提携ゲームを宣伝し、提携ゲームのダウンロード数や課金額を増やして、ゲーム収益の一部を得る行為は、他人の商品・サービス販売のために企画・宣伝を提供するものと認められ、『類似商品・サービス区分表』第35類「販売促進の代行」サービスに該当する。 https://www.court.gov.cn/zixun/xiangqing/462901.html 『2025年知的財産権強国建設推進計画』が公布 先頃、中国国家知的財産権強国建設作業に関する部・局間合同会議事務局は『2025年知的財産強国建設推進計画』を公布し、7つの方面から118項目の重点任務を明らかにした。 知的財産権制度の整備の面で、同計画は知的財産関連法律・法規・規則の整備、知的財産に関する重要政策の改革・改善、新興分野及び特定分野における知的財産規則の整備を提案している。具体的には、関連法律・法規の制定・改正を推進し、効率的な知的財産総合管理体制の構築を促し、「第15次五カ年」知的財産計画の策定を適切に進め、データ知的財産保護規則等の検討と策定を加速するなどの措置が含まれている。 知的財産権保護の強化の面では、同計画は知的財産権司法保護の強化、知的財産権行政保護の強化、知的財産権共同保護体制の健全化を提案している。具体的には、懲罰的賠償制度の整備と全面実施、知的財産権に関する検察の総合的な職務遂行の深化、法執行特別行動の組織化と実施、行政と司法の連携及び地域間・部門間の法執行協力の強化などの措置が含まれている。 知的財産権市場の運営メカニズムの整備の面では、同計画は知的財産創造の質の向上、知的財産転化・活用の強化、知的財産権の市場化運営の促進を提案している。具体的には、専利・商標審査の品質と効率の持続的な向上、重要コア技術の革新を支える知的財産作業体系の整備、専利の転化・活用特別行動の徹底実施、専利集約型産業と著作権産業の育成・発展の積極的な推進、知的財産金融の積極的かつ堅実な発展などの措置が含まれている。 知的財産サービスの効率向上の面では、同計画は知的財産公共サービスの強化、知的財産サービス業の発展促進を提案している。具体的には、知的財産公共サービス普及プロジェクトの徹底実施、知的財産代理業界の監督管理の全面的強化などの措置が含まれている。 さらに、『2025年知的財産権強国建設推進計画』は、良好な知的財産文化環境の醸成、知的財産グローバルガバナンスへの深い参画、組織的保障の強化などの面でも具体的措置を明らかにしている。 http://www.nipso.cn/onewsn.asp?id=56196 商標局が『3年連続不使用取消審判請求ガイドライン』を改正 中国国家知識産権局商標局は5月26日、改正後の『登録商標の3年連続不使用取消審判請求ガイドライン』を公布し、提出書類や具体的な要求などの実務内容をさらに明確化するとともに、3年不使用の商標に関する予備調査証拠の範囲などを細分化し、請求効率をさらに高め、請求人に対して、正当な理由なく3年間連続して使用されていない登録商標については必要に応じて取り消しを請求するよう指導した。 現行の中国商標法第四十九条および商標法実施条例第六十六条の規定によると、正当な理由なく3年連続して使用されていない登録商標については、いかなる単位または個人も国家知識産権局に対し当該商標の取消審判を請求することができ、請求時には関連状況を説明する必要がある。今回改正されたガイドラインでは、請求人は取消理由において「対象商標が正当な理由なく3年連続して使用されていない状況」を説明するとともに、ネット検索結果や市場調査報告などの予備調査による証拠を添付しなければならないことがさらに明確化された。 改正後のガイドラインでは、予備調査による証拠は以下を含むがこれに限らないと規定されている。対象商標登録者の経営範囲または業務範囲、経営状態または存続状態などの情報、対象商標の市場調査状況(専門検索プラットフォームに限定されない)、対象商標登録者の公式ウェブサイト、WeChat公式アカウント、ECプラットフォーム、実店舗、生産場所などのオンライン調査、市場調査、現地調査による証拠資料が含まれている。 http://www.cnipr.com/sj/zx/202506/t20250604_257647.html 6部門が『パテントプール構築・運営に関するガイドライン』を共同公布 先頃、中国国家知識産権局、科学技術部、工業と情報化部、国務院国有資産監督管理委員会、市場監督管理総局、中国科学院の6部門が共同で『パテントプール構築・運営に関するガイドライン』を公布した。ガイドラインは、パテントプールの科学的な構築、合理的配置、規範的な管理、効率的な運営を指導・支援し、その機能と役割をよりよく発揮させ、新たな質の生産力の育成と発展を加速することを目的としている。 『ガイドライン』は以下のことを明確にしている。パテントプールとは、2つ以上の専利権者が協議により、その中の一方または第三者の運営管理機関に委託し、ある技術分野の保有専利を共同運営し、クロスライセンスやワンストップライセンスなどの業務および関連サービスを展開する専利運用モデルである。その構築・運営は、市場化、利益均衡、開放、無差別の原則に従わなければならない。国家知的財産権局は関連部門と共同で、パテントプールの構築・運営に関して包括的に指導・支援する。地方の知的財産管理部門および関連部門は、地域の実情に応じてパテントプールの構築に対する指導・支援、サービス保障を強化することが奨励されている。 『ガイドライン』によれば、パテントプールメンバーは主にパテントプールの第三者へのワンストップライセンスを通じて収益を得ており、ロイヤルティーは一般的に、発起者またはパテントプール運営管理機関が専利の数、専利の価値、関連業界の平均利益率、実績などの要素を総合的に考慮して決定する。パテントプールがロイヤルティーを決定または調整する際には、潜在的なライセンシーと十分な協議を行い、交渉することで、関係者の利益バランスを図ることができる。同時に、『ガイドライン』は、公平な収益分配メカニズムの確立、柔軟で効率的なサービス管理モデル、適度に透明な情報開示メカニズムについても要求を明確にしている。 https://www.cnipa.gov.cn/art/2025/5/21/art_55_199766.html

 

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