中国 2024年、104万5000件の特許出願に権利付与 さらに多くの特許が研究室から産業チェーンへと移行
中国国務院は1月15日、記者会見を開き2024年の知的財産権関連作業の進捗状況を紹介した。中国国家知識産権局の胡文輝副局長は、2024年に中国は同期比13.5%増の104万5000件の特許出願、同9.1%増の478万1000件の商標出願、1万1000件の集積回路配置図設計出願に権利付与したと紹介した。
2024年末時点で、中国国内の有効特許件数は475万6000件に達した。そのうち高価値特許の保有件数は同期比18.8%増の197万8000件、一万人あたりの高価値特許の保有件数は14件に達した。有効特許を保有する国内企業は前年同期より6万9000社多く、49万7000社に達した。
2024年に中国出願人が提出したPCT国際出願、ハーグ協定に基づく意匠の登録出願、マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録出願の件数は、いずれも世界ランキングの上位をキープしている。中でも、ハーグ協定に基づく意匠の国際登録出願は同期比29.5%増の4868件で、世界1位に躍進した。胡文輝副局長は、中国の高価値特許のうち、13万件が海外でも権利を取得済みで、1万6000社のイノベーション主体がそれに関与しており、さらに多くのイノベーション主体が知的財産権を利用して国際市場を開拓し、国際競争力を高め続けることに注力していると紹介した。
さらに多くの専利が「研究室」から「産業チェーン」へと向かっている。中国国家知識産権局の知的財産権運用促進司の王培章司長の紹介によると、専利の転化と運用をめぐる特別行動が実施されて以来、全国の大学と科学研究機関の既存専利134万9000件が精査され、45万社の企業の間で精密なマッチングとプッシュ送信が行われたという。さらに、専利の産業化による中小企業成長促進計画や、専利集約型製品の認定などの取り組みも着実に進展し、良好な成果を上げている。
2024年末時点で中国国内企業が保有する有効特許数は350万件を超えており、国内有効特許件数全体の73.7%を占め、前年より2.6ポイント増加した。国内企業の保有する有効特許の産業化率は5年連続で安定した成長を維持しており、2024年の企業の特許産業化率は53.3%に達し、イノベーション成果の実際の生産力への転換が加速している。
「企業がイノベーションに積極的に取り組む一方で、その転化・運用能力も持続的に向上している」と、中国国家知識産権局の戦略計画司責任者の梁心新氏が紹介した。近年、中小企業やハイテク企業は、専利の産業化において顕著な成果を示しており、戦略的新興産業と未来産業における専利の転化と運用の利益は際立っている。また、データによると、中国の企業特許保有者の50%近くがグリーン技術革新を実施、または実施する予定である。
財産権、特に知的財産権の保護は、良好なビジネス環境を構築する上で重要なことである。現在、中国の国家レベルの知的財産権保護センターと迅速権利保護センターの総数は124カ所、海外知的財産権紛争対応指導サブセンターの数は80カ所に達している。2024年、知的財産権管理機関は7万2000件の専利権侵害紛争行政案件を処理し、管理機関の指導のもとで知的財産権紛争調停機関は14万件近くの調停案件を受理した。知的財産権保護に対する社会的満足度は82.36点に上昇し、過去最高を記録した。
「現在、特許出願の平均審査期間は15.5カ月に短縮され、商標登録出願の平均審査期間は4カ月に安定し、同様の審査制度を利用する国の中でいずれもトップレベルに達している。特許審査結論の正確度は95.2%に達し、商標審査、商標登録異議申立て、審査評価のいずれも抜取検査合格率は97%以上であった」と、胡文輝氏が紹介した。
2024年末時点で、中国は累計2544件の地理的表示製品を承認した。地理的表示専用標識の使用経営主体は3万3000社近くあり、地理的表示製品の生産高は9600億元を超え、長年にわたって安定的に増加している。
国家知識産権局の知的財産権保護司の郭雯司長によると、今後、国家知識産権局は、引き続き地理的表示の高水準管理を推進し、地理的表示の統一認定制度を着実に実施し、地理的表示製品の承認と商標登録出願手続きの一元化の実現を加速する。地理表示保護と文化観光、「老舗」、「無形文化遺産」などの分野との融合と発展を強化し、地理的表示産業の持続可能な発展に原動力を提供する。
https://www.gov.cn/lianbo/bumen/202501/content_6998906.htm
『専利紛争の行政裁決・調停弁法』が公布
先頃、中国国家知識産権局は『専利紛争の行政裁決・調停弁法』(以下、『弁法』という)を公布した。『弁法』は総則、行政裁決、行政調停、法的責任、附則などの五章、八十五条からなっている。また、『弁法』の実施をより徹底するために、域外身分証明、域外証拠、標準必須特許の特別規定、臨時保護期間の関連条項についてさらに詳しく説明している。
一、域外身分証明と域外証拠について(第十八条、四十六条)
香港・マカオ・台湾居住者の合法的権益を保護し、行政裁決・調停への参加の利便性を高めるため、『弁法』は、香港・マカオ居住者が所持する本土通行許可証及び台湾居住者が所持する大陸通行許可証を行政裁決・調停への参加又は口頭審理傍聴のための身分証明として使用できると追加し、司法実務との整合性をもたせた。また、外国人の有効身分証明について規定を改正し、「中国で永住資格を取得した外国人は、その者が所持する外国人永住証明書が有効な身分証明となる」と明確にしている。『外国公文書の認証を不要とする条約』に基づき、『弁法』は「中華人民共和国が締結した関連条約において証明手続きについて別段の定めがある場合は、それに従う」ことを明確にし、行政裁定・調停の公平性と効率を保証している。
二、標準必須特許に関する特別規定(第三十条)
標準必須特許は、現在の市場競争の焦点であり、産業競争力を向上させる重要な手段及びツールでもある。事前調査及び意見募集において、『弁法』における標準必須特許の適用の条項に幅広い関心と意見が寄せられた。標準必須特許は本質的には依然として特許に属し、『弁法』の適用範囲から除外されるべきではないが、その特殊性と複雑性を考慮し、『弁法』は関連司法解釈を参考にして、標準必須特許に関する特別規定を案件終了形式で設けている。
三、分割出願の暫定保護期間(第七十五条)
『弁法』は、分割出願の公開日について、親出願と分割出願のうち早い方の公開日を基準とすると規定している。専利法及びその実施細則における分割出願の保護範囲及び補正に関する規定によると、分割出願の補正は親出願に記載された範囲に基づくものであり、親出願に記載された範囲を超えてはならない。分割出願の暫定保護期間の開始時点を前倒しすれば、親出願自体がカバーしていない保護範囲に対して「予備的保護」を与えることとなり、権利者の利益をより効果的に保護することができる。
また、現行の部門規定の『専利行政法執行弁法』(局令第71号)は、第二章「専利権侵害紛争の処理」及び第三章「専利紛争の調停」において、専利行政裁定及び調停に関して規定を設けている。具体的な適用に際しては、新規定が旧規定に優先する原則に基づき、二つの規定で内容が矛盾する場合、本弁法を適用する。
https://www.cnipa.gov.cn/art/2025/1/13/art_66_197168.html
広州知的財産権裁判所 昨年各種専利案件1万件以上を審理
中国広東省の広州知的財産権裁判所は2月6日、2024年の技術系案件の裁判状況を紹介し、科学技術革新をサポート・保障した典型的判例を発表した。
データによると、2024年に広州知的財産裁判所は専利案件1万1021件の裁判を終了した。その中には植物新品種権紛争27件、技術秘密と独占禁止紛争24件、外国や香港・マカオ・台湾に係わる技術系紛争356件が含まれる。
2024年、広州知的財産裁判所は技術系案件2570件を新規に受理した。新規一審案件の23.6%を占める。裁判終了した案件は4023件で、前年より27.67%増加した。
報告では、新規技術系案件の多くは実用新案権侵害紛争、コンピュータソフトウェア侵害紛争、特許権侵害紛争であり、それぞれ新規受理した技術系案件の50.04%、32.1%、12.45%を占めた。年間の新規受理専利案件は9950件で、全体の78.02%を占めている。
同日、広州知的財産権裁判所は科学技術革新をサポート・保障する典型的判例9件を発表した。バイオ医薬、集積回路、自動車機械、植物新品種などの分野に及んでいる。
その中で、核酸配列データの営業秘密紛争案件は、ハイテクバイオ医薬分野の技術秘密と営業秘密に関わり、刑事と民事にまたがる、困難かつ複雑な案件である。この判決は同種案件の審理に良い判例となり、また営業秘密侵害を故意に行う主体を厳しく取り締まり、バイオ医薬産業の健全な発展を力強く保護するものである。
「彩甜糯6号」交雑種トウモロコシ品種認定案件は、中国独自に育成した交雑種トウモロコシ親品種権に係わる典型的判例であり、現在の中国の関連国家標準及び産業標準の不足という課題を解決した。この案件は品種権者の立証難及び権利保護の難題を効果的に解決し、未審査の主要農作物に対する侵害行為を厳しく取締り、種子産業の知的財産権保護を強化する志向を明確に示し、農業の新しい質の生産力の発展を推進し、サポートするものである。
http://ipr.mofcom.gov.cn/article/gnxw/sfjg/rmfy/dffy/202502/1990265.html
最高検 技術関連知的財産権案件の民事・行政訴訟監督を強化
1月13日に開催された全国検察長会議で、検察機関が専利、コンピュータソフトウェア、集積回路配置図設計などの技術系知的財産権案件の民事・行政訴訟の監督を強化することが明らかになった。
会議では以下のことが強調された。専門化を強化し、総合的な職務履行メカニズムを完善し、包括的な知的財産権司法保護を継続的に強化する。ハイテク、新興産業、未来産業などの分野の知的財産権の司法保護を特に強化し、営業秘密や商標権、著作権などの侵害犯罪を法により処罰し、知的財産権をめぐる不当提訴の特別監督の常態化を推進する。技術革新に対する司法保護を強化し、関連する事件の犯罪と非犯罪、異なる罪の境界を正確に把握し、法に基づいて案件を処理し、不当な処罰や見逃しを防ぐことで、良好な革新環境の構築をサポートする。
https://www.spp.gov.cn/spp/2025qgjczh/202501/t20250115_679735.shtml
世界知的所有権機関 交通技術トレンド報告書を発表 中国の技術開発が世界トップクラス
世界知的所有権機関は6日、交通分野の発展トレンドに関する最新報告書を発表した。報告書によると、統計では中国が関連専利件数ランキングで首位に立ち、日本、米国、韓国、ドイツが2位から5位を占めた。5カ国の関連専利件数は世界全体の90%以上を占める。また、2018年から2023年にかけて、中国の未来交通技術に係わる専利分野の複合年間平均成長率も世界首位で、14.3%に達した。その他、中国は陸海空や宇宙のすべての交通分野で専利件数と成長率において世界をリードしている。
報告書によると、世界の交通分野の革新は、空飛ぶタクシー、電気自動車のワイヤレス充電技術、自動運航貨物船などのより環境に優しい「未来技術」にますます集中しており、新技術が続々と出現し、運輸業界を再構築している。
https://news.cctv.com/2025/02/07/ARTIHqqMFvKlf43Cv2uv9qFF250207.shtml