中国初の揚水貯蔵モデルが使用開始
電力ネットワークのピーク調整・貯蔵能力が向上
12月5日、中国南方電網有限責任公司への取材で、中国が自主開発した初の揚水貯蔵大規模モデルがこのほど正式に使用開始されたことがわかった。これは、中国の揚水の貯蔵容量の1/5弱を占める設備のインテリジェント管理が実現され、電力ネットワークのピーク調整と電力貯蔵能力が向上することを示している。
新型の電力システムの中で最も成熟した調整電源として、揚水貯蔵産業はすでに中国の新エネルギーインフラネットワークの重要な構成部分となっている。国家エネルギー局が発表した『揚水貯蔵中長期発展計画(2021-2035年)』によると、2030年までに揚水貯蔵の生産投入総規模は1億2000万キロワットに達すると予測している。
しかし、揚水発電所は工事の規模が大きく、電気機械設備が多く、システム構造が複雑であるなどの特徴がある。例えば、30万キロワットユニットは最も広く使用されており、1台のユニットは4種類のカテゴリーに分かれ、20セットの主要部品がある。従来の運用・維持モデルでは、日常点検項目が400以上あり、多くの人手を必要とする。
揚水貯蔵エネルギー発電所の運用・維持効率とスマート管理のレベルを高めるため、中国南方電網有限責任公司は、揚水貯蔵大規模モデルを開発した。これは、揚水の貯蔵機械の設備メンテナンスの関連知識をすべて備え、技術担当者の言語指令をインテリジェントに識別でき、設備の関連情報データを積極的に抽出し、分析ツールを自律的に操作することができ、すでに中国第3世代の揚水貯蔵AIデータ分析プラットフォームに組み込まれている。プラットフォームの操作効率はこれにより50%向上し、1028万キロワットの7ヶ所の揚水発電所の設備に対してハイレベルのスマート管理を行うことができ、状態の早期警報・分析、資産オンライン管理、点検戦略策定などの機能を備えている。
南網貯蔵エネルギー公司の啓鳴数智公司社長・李建輝氏は、この大規模モデルにより、揚水貯蔵AIデータ分析プラットフォームは安全生産をさらに良好にサポートされるようになったと述べている。42万カ所のモニタリングポイントでリアルタイムに収集されるデータと自律的に呼び出される9000のアルゴリズムを利用することで、スマート巡回検査の割合が大幅に増加し、発電所の電力網のディスパッチングへの随時対応が保証されるようになった。
https://www.chinanews.com.cn/gn/2024/12-09/10333088.shtml
2024年の北京人工知能コア産業規模が3000億元突破の見込み
3日間にわたる中国人工知能大会(CCAI)が12月14日、北京で開幕した。大会で発表された『北京人工知能産業白書(2024)』(以下「白書」と略す)によると、2024年の北京人工知能コア産業規模は前年同期比12%増の3000億元を突破する見込みである。
白書は、世界の主要大国はAI戦略の強化とアップデートを続けており、AIGCに代表される大規模モデル技術のブレークスルーはAI技術のイノベーションを加速させ、主要国が競い合ってレイアウトする全体的傾向を示していると指摘している。
白書によると、今年、北京のAI産業の発展は引き続き好調で、関連企業は2400社を超え、前年同期比で9%以上増加した。上場企業が46社、時価総額は約4兆3000億元であり、ユニコーン企業が36社で、全国の半数以上を占めている。社会融資規模は全国をリードし、今年第1から第3四半期までの社会融資額は約320億元で、前年同期比84%増であった。94の大規模モデルの承認手続きが完了しており、全国の約4割を占めている。
白書によると、技術イノベーションの面では、北京は汎用人工知能(AGI)などの主流技術分野でのレイアウトを継続し、その成果の一部は国際水準にある。脳型人工知能や光電子コンピューティングなど革命的技術路線での模索を行い、AIの次世代の開発トレンドを掴もうとしている。応用面では、国家レベルの法律大規模イノベーションプラットフォームがまもなく北京に立ち上げられる。また、文化、医療、公共サービス、金融などの産業において、AIのパイロットプロジェクトが本格化している。
AIの今後の発展動向について、白書は、モデル面では、基本モデルの能力が急速に向上し、マルチモーダルモデルが主流になり、新しいモデルアーキテクチャが登場すると指摘している。資金調達面では、大規模モデルへの融資熱は冷めず、資金はリーディングカンパニーに集中し、資金調達とM&Aの動きが鮮明になるだろう。
https://www.chinanews.com.cn/cj/2024/12-14/10336440.shtml
湖畔実験室が2024年度イノベーション成果を発表
「科学技術+産業」の正循環を構築
12月22日、浙江省の湖畔実験室(データ科学・応用浙江省実験室)が杭州市で2024年度のイノベーション成果を発表した。湖畔実験室は2020年7月に設立され、アリババDAMOアカデミー(達摩院)を基盤にしており、データ科学と応用分野に焦点を当てている。責任者によると、同実験室は積極的に「問題提起者」としての優位性を発揮し、最先端のAI技術を用いて医療、エネルギー、農業、集積回路などの産業の難題の解決に取り組んでおり、一部の成果は国際トップレベルに達し、迅速な応用を実現して、「科学技術+産業」の正循環を構築している。
例えば、がん早期検出という世界的難題をターゲットに、湖畔実験室は世界の複数のトップ医療機関と共同で「AIによる複数のがんの早期発見スクリーニング技術」を開発した。AIが初めて単純CT (plain CT)画像から早期がんの病変を発見し、膵臓がんの早期検出の難題に画期的な進歩をもたらし、国際的医療誌『Nature Medicine』誌に「医療映像に基づくAIによるがんのスクリーニング検査が黄金時代を迎えようとしている」と評された。また、この技術はGPT-4とともにスタンフォード大学の『2024年AI指数報告書』で年度重点研究に選出された。中国で唯一選ばれた技術である。
種子は農業の「チップ」であり、農業の発展にとって極めて重要である。伝統的育種の周期が長く、コストが高いなどの問題を解決するため、湖畔実験室は「全プロセスインテリジェント育種プラットフォーム」を開発し、育種家たちにデータ分析、AI予測の「セントラルキッチン」を提供し、遺伝子配列測定データの変異部位に対する計算を110倍高速化することで、優れた遺伝子の正確な選別をサポートし、新品種の育成周期を短縮した。大規模モデルの発展はAIコンピューティング能力へのニーズの高まりをもたらし、RISC-Vは新しいチップアーキテクチャとして、そのオープン性とカスタマイズ性はAI応用・革新に独自の優位性を提供している。
この日発表されたイノベーション成果の一部はすでに応用されている。例えば、エネルギー業界のグリーン化・低炭素化をサポートするためにリリースされた「八観気象大規模モデル(Eight Views Meteorological Model)」は、山東省で初めて導入され、同省の風力発電所262ヶ所と太陽光発電所331ヶ所をカバーしている。これは、時系列予測、説明可能AI(XAI:Explainable AI)、数学モデリングなどの分野での湖畔実験室の長年の技術の蓄積と研究・開発に基づき、新エネルギーパワーの予測などのシーンで意思決定の根拠を提供するものである。
また、玄鉄AIプラットフォームは、エンジニアに便利な開発体験を提供し、RISC-Vアーキテクチャに基づくAI応用の性能最適化と開発のスピードアップをサポートすることができる。このプラットフォームは、クラウドビデオトランスコーディングカード、AIエッジコンピューティングボックス、RISC-Vノートパソコンなどの端末製品で応用されている。湖畔実験室はPC、エッジコンピューティング、5Gなどの高性能シーンにおけるRISC-Vの応用を推進しており、玄鉄プロセッサーを中心としたイノベーションエコロジーを持続的に開拓している。
「近年、インフラストラクチャが統合された基本モデルが流行しており、1つのシーンに1つのモデルを開発するのではなく、『3つのモデルで千以上のシーンの問題を解決する』ことを実現している。例えば、医療チームが打ち出したAIがんスクリーニング検査法は、単純CT+AIに基づいて実現され、すでに膵臓がんの早期発見の難題を攻略しており、今後、食道がん、胃がん、腸がんなど、より多くの種類のがんへの応用が期待されている。」湖畔実験室の副主任で首席科学者の趙徳麗氏は、同実験室は現在いくつかの基本モデルを研究・開発しており、今後さらに多くの「0から1」への革新的なブレークスルーを達成し、国家経済と国民生活にかかわる重大な問題を解決できるようにしたいと述べた。
https://www.chinanews.com.cn/cj/2024/12-22/10340734.shtml