中国国家知識産権局-欧州特許庁の特許協力条約国際調査機関試行プログラムが第2段階へ移行
欧州特許庁(EPO)と中国国家知識産権局(CNIPA)は、双方協力の下で進めている特許協力条約(PCT)試行プログラムが次の段階に入ったことを共同で発表した。この新たな段階ではPCT出願を行う中国の出願人が欧州特許庁をその国際調査機関(ISA)として指定する際の利便性がより一層向上している。2024年12月1日より、出願人は中国国家知識産権局を通じて欧州特許庁に関連の調査手数料を人民元建てで支払うことが可能になる。
欧州特許庁をその国際調査機関として選択することにより、出願人はより迅速に欧州で特許としての保護を受けることができる。また、第2段階では引き続きその重要な利点が生かされており、例えばPCT第二章に基づき欧州特許庁に国際予備審査を請求した場合に、欧州段階への移行時に75%の審査手数料が減額され、かつ補充的欧州調査とPCT出願の翻訳が不要となり、時間とコストが節約される。
多くの出願人が引き続きこの利点を利用できるようにするため、試行プログラムの出願の上限は毎年3,000件に設定されている。
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
商標取消手続きに関するガイドライン
商標登録者はその登録商標に対して使用義務を負い、使用のニーズがなくなった自己名義の遊休商標について、商標資源をさらに解放し、市場の活性化を図るために、自発的に取り消し、整理することができる。事業体が商標取消手続きを理解し、正しく行うに当たっての便宜に供するため、中国国家知識産権局は本ガイドラインを制定した。
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
商標使用許諾届出手続きに関するガイドライン
事業体が商標使用許諾届出に関する法律の規定およびプロセスの設定を理解するための助けとなり、事業体が規定に従い速やかに届出を行い、かつ届出書類を正しく提出するよう導き、商標使用許諾の効力を明確化し、規範的でない商標使用許諾行為による混同・誤認、その他のマイナスの影響または権利上の紛争を防止するなどを目的として、中国国家知識産権局は本ガイドラインを制定した。
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
「類似商品及び役務区分表」以外の許容可能な商品と役務項目名の更新に関する通知
商標審査の審査効率を向上させ、出願人に対する利便性の一層の向上を図るため、商標局は「類似商品及び役務区分表」以外の許容可能な商品と役務項目名を定期的に更新している。第4四半期の許容可能な商品と役務項目名は中国商標ネット商標検索ページおよび商標オンラインサービスシステムで公開されており、出願人はオンライン検索と入力を行うことができる。
商標局
2024年11月11日
(出所:中国国家知識産権局商標局)
中国・ニュージーランド特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムが2024年11月1日より開始
中国国家知識産権局とニュージーランド知的財産庁(IPONZ)の共同の決定を経て、中国・ニュージーランドPPH試行プログラムが2024年11月1日より開始される。実施期間は2026年10月31日までの2年間となっている。
中国・ニュージーランド特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムに基づく中国国家知識産権局(CNIPA)へのPPH申請手順(英語).pdf
中国・ニュージーランド特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムに基づくニュージーランド知的財産庁(IPONZ)へのPPH申請手順(英語).pdf
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
典型事例:
集佳が代理人を務めたドイツリキモリ社潤滑油権利維持事件において、二審で原判決を維持!
事件の概要
LIQUI MOLY GmbH(以下、「ドイツリキモリ社」という)は第G803684号「」、第G567461号「LIQUI MOLY」および第4973900号「力魔」の商標権者である。被告の保力克潤滑油(珠海)有限公司(以下、「保力克公司」という)は標章「」「」「」の潤滑油、エンジンオイルなどの製品を生産、販売している。一審法院は審査を経て、保力克公司および珠海美合科技股份有限公司(以下、「美合公司」という)が生産し、かつ保力克公司および広東天辰商貿有限公司(以下、「天辰公司」という)が販売する被疑侵害標章「 」「」「」を使用した潤滑油製品は、ドイツリキモリ社の登録商標の専用権を侵害し、保力克公司がエンジンオイル、潤滑油上でドイツ国旗、GERMAN TECHNOLOGYなどの要素を使用し、かつ宣伝する行為は《不正競争防止法》第8条第1項に定める虚偽の宣伝・不正競争行為を構成する旨を認定し、次の内容を命じる判決を下した。保力克公司、天辰公司および美合公司はドイツリキモリ社の登録商標の専用権を侵害する行為を直ちに停止する。保力克公司は不正競争行為を直ちに停止する。保力克公司はドイツリキモリ社に経済損失および合理的費用計70万元を賠償し、美合公司は30万元を限度として連帯して弁済する責任を負い、天辰公司は25万元を限度として連帯して弁済する責任を負う。
美合公司は一審判決を不服として、自身は生産業者であり、賠償責任を負うべきではない旨を主張し、広東省中山市中級人民法院に控訴を提起し、法院に判決を変更し、美合公司は連帯して弁済する責任を負う必要がないものとし、または美合公司が連帯して賠償すべき金額を減額することを求めた。
二審法院の認定
美合公司は保力克公司の委託を受けて容器への充填を行う時点で、保力克公司が提供する権利侵害標章が印刷された潤滑油、エンジンオイル容器について、事情を知っていた。商標「」「」「力魔」はドイツリキモリ社が長期的に使用し、高い知名度と名声を誇っている。美合公司は2007年に設立され、かつ登録資本金が7,560万元にのぼる潤滑油加工の専門企業であり、生産規模は比較的大きく、専門知識も相応に高く、ドイツリキモリ社の上述の商標に関する事情を当然知っているべきであるが、依然として保力克公司の委託を受け、上述の権利侵害標章が印刷された潤滑油、エンジンオイル容器に充填を行っており、保力克公司と共に共同権利侵害を構成することから、美合公司は権利侵害行為について当然連帯して弁済する責任を負うべきである。一審法院は保力克公司にドイツリキモリ社の経済損失および合理的費用計70万元の賠償を命じる判決を下し、美合公司に30万元を限度として連帯して弁済する責任を負うことを命じる判決を下した。本件における保力克公司、美合公司の権利侵害行為、侵害規模、各当事者の役割などの要素を総合し、中山市中級人民法院は一審判決が命じた連帯して弁済する責任を負う金額は合理的であり、維持すべきであると判断し、控訴を棄却し、原判決を維持する判決を下した。
二審で判決変更!120万が満額支持、権利侵害の実質的支配者と工具会社の連帯責任を認定、実質的支配者の絶対多数の割合での連帯責任が強調
事件の概要
原告のドイツリキモリ社(Liqui-Moly Gesellschaft Mit Bescherankter Hfatung)は国際的に有名な自動車用潤滑油、添加剤のブランドオーナーであり、原告のLIQUIMOLY、力魔ブランドのエンジンオイルは1957~1960年前後に販売が開始され、車両用添加剤、潤滑油および自動車のメンテナンス分野において継続的に欧州や世界市場で上位を占めている。原告のLIQUIMOLY、力魔ブランドのエンジンオイル、潤滑油などの製品は、2005年の中国市場への参入以来、長年にわたる使用および宣伝・普及を経て、極めて高い知名度を誇っている。また、原告のドイツリキモリ社も、中核的な事業および生産・販売製品について商標区分の第1類、第4類などで「LIQUI MOLY」「力魔」「」のシリーズ商標を登録している。
被告の何某茜、林某香、何某鵬は、母子、母娘という直系の親族関係にあり、この3名のグループは共同の合意および役割分担により商標の冒認出願、登録商標の変形使用、虚偽の宣伝などの権利侵害および不正競争行為を実施した。具体的には以下のとおりである。
原告が権利を主張する商標 |
被告が冒認出願した商標 |
被疑侵害フィルタ製品、被疑侵害標章(列挙内容はその一部) |
G803684(第1、4類) 第4973900号(第4類)
第10040151号(第1類)
G567461(第1、4類) |
第15112414号(第7類、すでに無効)
第8723418号(第7類、すでに無効) |
被疑侵害標章の一部(被疑侵害フィルタ製品および包装上、オンラインショップの宣伝上など) |
一.商標の冒認出願
2010年10月9日、2014年8月7日に、林某香は第15112414号商標、第8723418号商標を出願し、2011年10月21日、2015年11月28日に、上述の2件の商標は登録を許可された。2018年8月30日、林某香は被告の浙江某某力魔公司(当該公司の法定代表者および実質的支配者は林某香の息子の何某鵬)に上述の商標の使用を許諾した。2021年11月13日、2021月12月31日に林某香はさらに上述の2件の商標をその娘の何某茜に譲渡した。この2件の冒認商標は最終的に2024年1月に北京市高級人民法院の審理を経て、《商標法》第44条第1項「その他の不正な手段により登録を得た」という絶対的な理由により無効とされた。
二.被告グループは共同の合意および厳密な役割分担により、被疑侵害フィルタ製品を継続的に生産、販売し、かつ虚偽の宣伝などの不正競争行為を実施した。
林某香の娘の何某茜は2014年11月27日にウルムチ市天山区延安路の力魔某某商店(個人事業主)を設立し、かつ2017年にTOYOTAなどのブランドを侵害するフィルタを販売したことにより市場監督管理局の処分を受けた。その後2019年に何某茜はさらにその個人事業主の名義によりロシアタタールスタン国際自動車部品展覧会に参加し、かつ本件の被疑侵害フィルタ製品の展示・営業を行った。原告のドイツリキモリ社はこの件について何某茜に弁護士名義の書簡を発送し、関連の権利侵害行為の即刻停止を要求した。しかし、何某茜は何の対応も取らなかっただけでなく、本件の審理過程においても、その経営する天山区延安路の力魔某某商店で被疑侵害フィルタ製品の販売を継続し、かつ店舗入口でも被疑侵害標章を目立つ形で使用していた。これ以外にも、何某茜は2016年9月22日に被疑侵害標章のを、美術著作物として著作権登記証書の手続きを行っていた。
林某香の息子の何某鵬は2018年8月24日に浙江某某力魔汽配有限公司(自然人による独資)を設立したが、何某鵬は同社の法定代表者、執行董事、管理者および実質的支配者であり、同社は被疑侵害フィルタ製品の生産・販売・輸出を手掛け(その販売形式にはオンライン(1688ショップ)とオフラインを含む)、カザフスタンなどの国と地域に輸出していた。同社はまた、ドイツリキモリ社の信用力に便乗することを目的とする「ドイツブランド」「ドイツクオリティ」などの虚偽の宣伝行為を実施した、本件の被疑侵害標章の直接の使用者である。2022年1月、原告の苦情申し出により、浙江某某力魔汽配公司は金華市市場監督管理局によりドイツリキモリ社の関連商標の専用権に対する侵害を理由として行政処罰を受けた。原告はまた、被告グループによるオンライン、オフラインでの権利侵害および不正競争行為に対し、金華市中級人民法院に救済を求める民事訴訟を提起した。
三.民事上の司法救済
一審法院は審理を経て、被告の浙江某某力魔汽配公司が原告の関連商標の専用権に対する侵害を構成し、原告の商号に関する虚偽の宣伝・不正競争行為を構成すると判断したが、本件証拠では林某香、何某茜、浙江某某力魔汽配公司が合意のもとで、異なる役割分担により被疑侵害および不正競争行為を実施したことを証明するには不十分であると判断し、最終的に一審では浙江某某力魔汽配公司に被疑侵害および不正競争行為に対して30万元の権利侵害による損害賠償責任を負うことを命じる判決が下された(権利侵害行為の停止に関する判決内容は省略)。
原告はこれを不服として、浙江省高級人民法院に控訴し、浙江省高級人民法院は審理を経て判決を変更し、林某香、何某茜および浙江某某力魔汽配公司は共同権利侵害を構成し、連帯して責任を負うこととなった。さらに判決を変更し、原判決で確定した賠償金額を引き上げ、ドイツリキモリ社が主張する経済損失および合理的支出計120万元を満額支持し、何某香、林某茜は共同で実施した商標権侵害行為についてそのうち100万人民元に対して連帯して責任を負うこととなった。
典型事例の意義
本件の円満な解決は原告が被告の悪意ある冒認商標を無効とすることに成功しただけでなく、さらに原告が行政と司法レベルにおいて全力を尽くして有効な救済手段を十分に活用し、自身の正当な権利・利益を守る戦いに全面的に勝利したことを意味するものである。
集佳ニュース:
AIPPI国際総会が初の中国開催、集佳がこの盛大なイベントに深く関与
10月19日~22日、2024年国際知的財産保護協会(以下、「AIPPI」という)国際総会が杭州市において盛大に開催された。集佳は本総会を非常に重視し、錚々たる顔ぶれの代表団を派遣し、李徳山、李洋、王艶江の3名の副所長が自ら代表団を率いて、複数のパートナーおよび関連職員と共にこの盛大なイベントに深く関与した。
会期中に、李徳山副所長はAIPPI中国部会の理事として、招待を受けて会長理事会晩餐会に参加した。また、執行委員会全体会議に出席し、AIPPIの各決議項目に対する投票・採択を行った。張亜洲弁護士は中国代表として悪意ある訴訟に関する決議の議論と制定過程に参加した。関連の決議草案は十分な議論と議決手続きを経て採択され、総会の中核的な成果の1つとなった。集佳代表団は多くのシンポジウムおよび各種活動に積極的に参加し、世界各地の法曹界、知財界の同業者と幅広く交流し、各国の知的財産権弁護士、関連組織との専門分野での協力と業務連携をさらに強化した。
集佳が中国・フィンランドイノベーション企業協力委員会第5回会議に招待され、協力協定に署名
2024年10月29日、中華人民共和国商務部とフィンランド共和国経済・雇用省が主催する中国・フィンランドイノベーション企業協力委員会第5回会議(The 5th China-Finland Committee for Innovative Business Cooperation Meeting)が人民大会堂において盛大に開催された。中国の韓正国家副主席、フィンランドのストゥブ大統領が会議に出席した。
中国とフィンランドでそれぞれ有名な知的財産権サービス機構として、北京集佳知識産権代理有限公司とフィンランドKolster Oy Ab法律事務所が、本会議で唯一招待を受けた一組の知的財産権サービス機構として今回の協定署名活動に参加した。集佳シニアパートナーの潘煒弁護士とKolster法律事務所CEOのTimo HELOSUO氏が活動に出席し、二者間協力協定に正式に署名した。
集佳が栄えあるWIPR 2024年度知的財産権リーダーランキングに選出 特許と商標分野で複数受賞
国際的に権威のある知的財産権関連媒体の「世界知的財産権評論」(World Intellectual Property Review、略称WIPR)はこのほど、2024年度知的財産権リーダー(2024 WIPR Leaders)ランキングを発表し、知的財産権分野で世界をリードする事務所と個人を選出した。集佳知識産権は卓越した専門性と業界内での高い評価により、栄えある複数受賞を果たし、特許非訟分野の「Highly Recommended firms」、商標非訟分野の最高ランクの「Outstanding firms」および商標訴訟分野の「Highly Recommended firms」に選出され、李徳山副所長が特許非訟分野の「Highly Recommended Individuals」、パートナーの趙雷弁護士が商標非訟分野の「Outstanding Individuals」ランキングにそれぞれ選出された。
企業IPR推薦の知的財産権機構ランキングが発表 集佳が「専利出願・権利確認推薦機構」と「商標出願・権利確認推薦機構」に選出
先ごろ、中国企業知的財産権発展サロンが主催する「2024中国企業知的財産権発展サミットフォーラム」が深セン市において盛大に開催され、フォーラム上で中国企業知的財産権発展サロン知的財産権サービス機構推薦名簿が発表され、集佳知識産権が栄えある「専利出願・権利確定サービス機構」「商標出願・権利確認サービス機構」ランキングに選出された!