優先権回復、優先権主張の追加または補正に関する手引き
改正後の《中華人民共和国専利法実施細則》では優先権回復、優先権主張の追加または補正制度が新たに追加されたが、新制度では出願人のために優先権の期間や手続きの処理に関するより多くの効果的な救済措置が定められるとともに、「特許協力条約」(PCT)に基づく国際出願に関する規則との整合性が図られている。本手引きの目的はイノベーション主体が優先権回復、優先権主張の追加または補正制度を正しく理解し、使用するよう導き、出願人による専利出願関連手続きの質の向上を支援し、専利事業の質の高い発展を促進することである。
関連文書:優先権回復、優先権主張の追加または補正に関する手引き
(出所:中国国家知識産権局ウェブサイト)
世界知的所有権機関:中国の世界トップ100科学技術クラスター数がトップを維持
世界知的所有権機関が8月27日にシンガポールの知的財産関連イベント「IP Week @ SG 2024」において「2024年グローバル・イノベーション・インデックス(GII)」の速報を発表した。それによると、中国の世界トップ100科学技術クラスター数が2年連続で世界一となった。
速報によると、中国は世界トップ100に入った科学技術クラスターのうち26を擁し、昨年の24を超えた。米国が20と僅差の2位、ドイツが8、インドと韓国がそれぞれ4となっている。
世界の10大科学技術クラスターランキングでは7つがアジア、3つが米国に存在する。日本の東京-横浜が首位を占め、その次が中国の深セン-香港-広州で、中国の北京が3位に上昇し、米国のカリフォルニア州サンノゼ-サンフランシスコが米国最先端の科学技術クラスターで、6位となっている。その他の中所得国のエジプトのカイロ、インドのチェンナイ、トルコのイスタンブールなども優れた実績をあげている。
(出所:新華ネット)
中国と「一帯一路」共同建設国との知的財産権協力が継続的に深化
「一帯一路」共同建設イニシアチブを提唱して以来、中国は共同建設国との知的財産権協力を継続的に強化しており、現在までに、中国国家知識産権局はすでに57の共同建設国と知的財産権協力協定を締結し、共同建設に参加した18の国と地域の知的財産権機構と特許審査ハイウェイ(PPH)に関する協力を実施し、10の共同建設国の特許協力条約(PCT)に基づく特許出願の国際調査機関と国際予備審査機関となっている。
データによると、2013年から2023年までに、共同建設国および関連組織における中国企業の特許出願件数と付与件数は累計でそれぞれ7万件、3万5,000件に達し、年平均成長率が20%以上を維持している。中国における共同建設国の特許出願件数と付与件数は累計でそれぞれ28万5,000件、18万2,000件に達し、年平均成長率がそれぞれ5.6%、8.0%となっている。2023年末現在、共同建設国の企業の中国における有効特許件数は15万3,000件に達している。
ここ数年、中国は「一帯一路」知的財産権協力を代表とする国際協力を継続的に実施し、グローバルな知的財産権パートナーシップネットワークの整備を絶えず進めている。現在、中国はすでに世界80以上の国と地域との間で安定した協力関係を構築し、現在実行中の知的財産権協力協定は200件以上で、多国間、近隣諸国間、少数国間、二国間の「4つの対外関係が連動し、協調的に推進する」知的財産権に関する国際協力の新たな構造を構築している。
第3回「一帯一路」知的財産権ハイレベル会合が9月11日から13日まで開催される。今回の会合では専利、商標、地理的表示、著作権の4つの分野における複数の実務協力プロジェクトの推進、「一帯一路」知的財産権協力の質の向上とレベルアップ、踏み込んだ開拓の促進について議論が行われる予定である。
原題:共同建設国による専利に関する技術交流を促進し、「一帯一路」知的財産権協力を継続的に深化する。
(出所:新華ネットより抜粋)
典型事例:
集佳が香港小黄鴨の代理人として、「B.Duck」などの商標の初の馳名商標認定に協力し、賠償金430万の判決を勝ち取る。
先ごろ、集佳が代理人を務めた森科産品有限公司など(以下、「香港小黄鴨」という)と温州市某企業などによる商標権侵害紛争事件について、重慶市第一中級人民法院は一審判決を下し、香港小黄鴨の第8814480号「 」商標が2019年8月7日以前に、第8814488号「 」商標が2019年9月17日以前に馳名商標(日本の著名商標に相当)であったことを認定した。さらに温州市某企業による保温マグボトル、茶碗などの商品への「G.DUCK」「 」「G.DUCKKIDS」「 」などの標章の使用は商標権侵害を構成するとして、権利侵害行為を停止し、430万元を賠償し、かつ『温州日報』に謝罪広告を掲載し、影響を取り除くことを命じる判決を下した。
事件の概要
香港小黄鴨の歴史は2001年まで遡ることができる。創設者の許夏林氏は2005年にイメージキャラクターのB.Duckを生み出し、B.Duckを特色とする消費財の小売事業を展開した。2020年、B.Duckが中国最大の独自のIPブランド(営業収入ベース)となった。B.DuckブランドはさらにLIMAアジアライセンシングアワード、玉猴賞などの業界で極めて影響力のある栄誉ある賞を受賞し、さらに広東省重点商標保護名簿に掲載され、極めて高い知名度を誇っている。
被告の温州市某企業は「弁当箱、水筒、コップ、スープジャー、保温容器」などの商品に「 」「 」「 」「 」「 」の標章を使用し、かつオフラインの実店舗、電子商取引プラットフォーム、セルフメディアプラットフォームなどのさまざまな方法を通じて宣伝、普及および販売活動を実施した。被告の上述の商標権侵害行為に対して、香港小黄鴨は2023年3月に重慶市第一中級人民法院に訴訟を提起した。
判決のポイント
1.原告の「 」「 」商標は被疑侵害標章の登録出願日以前にすでに馳名商標であった。
2.被告が保温マグボトル、茶碗などの商品に「 」「 」などの標章を使用したことは、容易に関連公衆の誤認・混同を生じさせるとともに、商標の希釈化を招き、原告の馳名商標の専用権を侵害する。
3.懲罰的要素を有する法定損害賠償制度を適用して損害賠償額を決定する。
事件の意義
本件を通じて、集佳は香港小黄鴨の「 」「 」商標について初の馳名商標の司法認定の実現に協力した。また、本件は知的財産権という手段をどのように積極的に運用して国産のオリジナルIPを保護するかを十分に示し、日々盛んに成長を続ける中国のその他のIPブランドの権益保護にとって有益な参考事例となった。
集佳が代理人を務めた聖象集団が提訴した「聖象智家」商標権侵害事件で再び馳名商標の司法認定による保護を実現
事件の概要
聖象集団は「聖象」商標および屋号の先行商標権者であり、第19類「床板」などの商品上で「 」の一連の商標の専用権を保有している。長期的で、広範囲にわたる使用と宣伝を通じて、原告の「聖象」ブランドは中国においてすでに極めて高い知名度と名声を誇っており、18年連続で「全国市場同類製品販売量第1位」を獲得し、かつ「中国で最も価値のあるブランド500」に何度も選ばれている。「聖象」ブランドの価値は2017年の345億6,800万元から成長を続け、2023年には858億5,600万元となった。
仏山市の某台所・浴室設備企業、某電化製品企業、某ネットワーク企業、梁某、譚某、李某などの6名の被告(以下、「6被告」という)は各自の公式ウェブサイト、京東(JD.com)旗艦店および各省市の専売店を通じて、生産、販売するガスコンロ、給湯器商品に「聖象智家」の文字、「 」または「 」のアイコンなどの被疑侵害標章を使用し、さらに原告の聖象集団が先に使用していた動画、IPイメージ、キャッチコピーなどを普及・宣伝用素材として無断で使用した。原告は本件の6被告の上述の行為が商標権侵害および不正競争行為を構成するとして法院に提訴した。
法院の判決
湖南省常徳市中級人民法院は一審判決で、6被告がガスコンロ、給湯器商品の販売、宣伝において「聖象」「 」などの標章を使用した行為は聖象集団の馳名商標の「聖象」の専用権を侵害したことを認定し、経済的損失200万元およびその他の合理的支出の賠償を命じる判決を下した。
典型事例の意義
本件は馳名商標に便乗した商標権侵害に関する典型的な事件であり、侵害の手口はますます多様化する傾向にある。本件の一審判決は聖象公司の馳名商標上の権益を守るとともに、高額賠償金の判決を通じてその他の潜在的な権利侵害者にとって一定の脅威となり得るものであり、「フリーライド」「ブランドの不正利用」などの行為の防止に資するものである。