Filter

Open

29

DEC

2020

中国特許法の第4回改正に焦点を当てよう

1017日、第13回全国人民代表大会常務委員会第22回会議で、特許法改正に関する決定が可決された。習近平主席は、第55号の主席令に署名し発行した。新たに改正された特許法は、202161日に正式に施行される。

改正への解読は異なる角度から異なる見方があるが、本文は、改正前後の2バージョンの特許法の違いを切入点として、改正内容の変化から改正の原因を解読しようとする。

I.懲罰的賠償制度を追加し、法定賠償額を増やし、証拠提供責任を完備させる

新たに改正された特許法では、意図的な特許権侵害に対し、状況が深刻な場合、人民法院は、権利者の損失、侵害者の利益、または特許ライセンス料の倍数に基づいて計算された金額の15倍以内で賠償額を決定できる。侵害者に痛くほど経済的代価を支払わせることに、法的抑止力を示し、国が法律をもって知的財産権を保護する態度と決心が示される。

同時に、法定賠償の上限を500万元に、下限を3万元に引き上げ、厳格な知的財産保護を実施し、法律違反のコストを大幅に増加させ、特許保護の強化と革新促進の方向性を反映する。

証拠規則がさらに改善され、権利者が証拠を提供するために最善を尽くしたが、侵害に関連する帳簿と資料が主に侵害者の手にある場合、人民法院は侵害者にそれを提供するように命令でき、それによって権利者の証拠提供負担を軽減する。

特許権侵害の訴訟時効が2年から3年になる。レベル、地域、同じ地域、および地域間を含む、特許紛争の行政処理の管轄を明確にする。国家レベルは、国内に重大な影響のある特許侵害紛争を処理する。地方の部門は、その行政地域内の案件を処理する。地域を跨がる案件は、上位政府の関連部門によって処理される。

II.特許の転化を促進し、特許情報の公開サービスを強化し、特許オープンライセンス制度を新増

特許法には、中国の企業機関が、法律に従って職務発明創造に関する出願権利及び特許権を処分でき、発明創造の実施と適用を促進する内容が新増される。国家は、特許権を付与された企業機関が財産権インセンティブを実施し、株式権、オプション、配当などの方法を採用することを奨励し、発明者または設計者がイノベーションの収益を合理的に共有できるようにする。

特許情報のタイムリーなリリース、普及、有効利用は、イノベーションの出発点の向上、繰り返し研究開発の低減、他者による特許権侵害の回避、イノベーションの促進に非常に重要である。現在の特許無効化プロセスにおける権利の範囲の再決定などの情報のタイムリーな開示欠如などの社会的ニーズにさらに応えるために、特許情報の応用およびサービスシステムにつき、制度上では体系的に配置する。今回の特許法改正により特許情報に関する規定が新増され、国務院特許行政部門が特許管理部門として特許情報公共サービスシステムの構築、及び基本的な特許データを提供することに責任を持ち、地方の特許管理部門が特許公共サービスを強化し、特許の実施と利用を促進することに責任をもつことを明確にする。

いずれの部門または個人がオープンライセンス特許を実施する意向がある場合は、書面で特許権者に通知し、公告されたライセンス料の支払い方法および基準に従ってライセンス料を支払い、その後、特許実施ライセンスを取得するものとする。「オープンライセンスの実施期間中、特許権者には、対応する年間の特許年金の減額または免除が認められる。」「オープンライセンスを実施する特許権者は、ライセンシーと交渉して通常のライセンスを付与することができるが、独占的または排他的な権利を付与することはできない。」

オープンライセンス制度は、特許の転化実施を促進する重要な法制度であり、特許権者に社会への特許権の開放を促し、特許の需給と特許実施を促進し、特許の価値を真に実現することを核とする。今回の特許法の改正は、国際的に成熟した経験を鑑みて、オープンライセンス声明とそのプロセス上の要件、オープンライセンスを取得するためのライセンシーの手順及び権利と義務、並びに対応する紛争解決パスを規定し、政府の公的サービスを通じて特許技術の供給側と需要側の間の情報の非対称性課題を解決し、いずれの部門または個人が簡単に特許ライセンスを取得し、取引コストを削減し、特許転化効率を向上させることを目指す。特許権者が公開ライセンス声明を出した後、特許を利用しようとする人は、特許権者の事前の許可なしに、特許権者によって公告された基準に従って支払うだけでよく、『特許実施ライセンス契約』備案をする必要もない。

III.意匠制度の完備

「意匠とは、製品の全体的または部分的な形状、パターン、または組み合わせ、ならびに色、形状、およびパターンの組み合わせに基づいて、見た目に美しく、産業用途に適した新しいデザインを指す。

部分的な意匠を強化する。設計革新の実践において、設計者は時々革新的な全体的な製品設計を行うことがあるが、より多くの場合、製品の特定の部分に対して改善された設計革新を行う。したがって、企業製品の設計革新の観点からであれ、設計開発ルールの観点からであれ、製品の部分的な設計革新は製品設計の重要な方式になっている。同時に、米国、日本、ヨーロッパ、韓国などの主要な国や地域はすべて部分的な意匠を保護している。企業が「グローバル化」になるにつれて、中国企業が海外で意匠保護を取得する需要が大幅に高まっている。部分的な意匠を保護することは、企業のニーズを満たし、国際的に認められた慣行に準拠する。これにより、中国企業は規則をより有効に活用し、国際市場をさらに開拓していき、国際競争力を向上させることができる。

意匠権の保護期間を延長する。意匠の保護期間を15年間に延長して、海外で出願する企業のニーズに対応し、イノベーション主体の保護期間に関する多様なニーズに対応し、中国が産業デザインの国際登録に関するハーグ協定に参加するための条件を作成する。

意匠出願の国内優先権制度を増加する。出願者が最初の国内出願日から6ヶ月以内に同じ主題について国内出願する場合、優先権を享受できると規定することにより、出願コストが削減され、意匠出願者に意匠出願を完備させ保護範囲を調整する機会を与える。

中国の意匠制度に関する今回の改正は、国際基準とさらに統合し、中国が産業デザインの国際登録に関するハーグ協定に参加するための条件を作成するための中国の取り組みでもある。

IV. 製薬業界の革新

製薬特許の期間の補償に関する新しい規定が追加される。現在、中国の製薬産業の発展に伴い、製薬会社は革新的な医薬品の研究開発投資とイノベーション能力を徐々に高めてきた。新薬の研究開発への熱意を保護するためには、対応するシステムが必要である。同時に、外国新薬の中国での早期上場を促進し、医薬品の入手可能性を高め、公衆衛生を保護するためには、中国の実情に基き関係国や地域の経験を鑑みて、医薬品特許期間補償制度を確立する必要がある。即ち、中国での販売が承認された新薬関連の発明特許につき、特許権者の要請に応じて、上場のために新薬への承認や審査時間を補償する制度を確立する必要がある。補償期間は5年を超えてはならず、新薬上場後の有効な特許権期間は合計14年を超えてはならない。

薬品の審査と承認の過程で、薬品上場の申請人が関連特許権者または利害関係者との間で紛争が発生した場合、関係者は人民法院に訴え、申請された薬品の技術方案が他者の薬物の特許権の保護の範囲内にあるかどうかについて判決を下すよう、請求することができる。国務院の薬品監督管理部門は、所定の期限内に、人民法院の発効した判決に基づき、関連薬品の上場を一時停止するかどうかを決定することができる。

新増の薬品特許紛争の早期解決プロセスは、関連する薬品が販売される前に、潜在的な特許紛争をできるだけ早く解決するようにする。関係者に代替の紛争解決ルートを提供することで、特許権者、ジェネリック製薬会社、および一般市民の利益をバランスさせ、薬物の入手可能性を改善し、公衆の健康を保護することができる。

V.特許授権制度の完備

緊急事態や流行病の予防や管理などの異常な状況への対応を改善し、関連発明創造の病気治療やその他の面へのタイムリーな適用を促進し、公衆衛生上の問題を解決し、新規性を失わない例外事情を拡充しようという革新主体のニーズに対応するために、今回の改正により、新規性を失わない例外事情に、「緊急事態または異常な状況が発生した場合、公共の利益を目的とする初めての公開」を追加する。これは、流行病と戦うための現在の実際的なニーズを満たすだけでなく、他の緊急事態や異常な状況での将来の適用の余地を作ることもできる。

特許侵害紛争に実用新案権または意匠権に関わる場合、人民法院または特許管理部門は、特許権者または利害関係者に、国務院の特許管理部門が関連する実用新案権または意匠権を検索、分析、および評価した後、作成した特許権評価報告書を、特許侵害紛争の審理および処理の証拠として提出するよう要求することができる。特許権者、利害関係者、または告発された侵害者は、特許権評価報告書を積極的に提出することもできる。この改正により、告発された侵害者が特許権評価報告書を積極的に提出することもできることを、新増する。これは、告発された侵害者が特許侵害訴訟に証拠を取得する権利を保護し、特許侵害紛争における当事者の公平性、柔軟性と主動性を高め、訴訟のプロセスに有利となる。

2020.10.26

About the Firm

Ge Cheng & Co Ltd.
Address Level 19, Tower E3, The Towers, Oriental Plaza, No 1 East Chang An Avenue, Beijing 100073, China.
Tel 86-10-8518 8598
Fax 86-10-8518 3600
Email davidcheng@gechengip.com , info@gechengip.com
Link www.gechengip.com

Related Newsletters

29
DEC
2020
29
DEC
2020
Newsletter: Chinese IP Information (English and Chinese) - Volume 10 Focus on the Fourth Revision...

Read More

15
DEC
2020
15
DEC
2020
Newsletter: Chinese IP Information (English and Chinese) - Volume 8 250 Million CNY! "Ultra-lon...

Read More

15
DEC
2020
15
DEC
2020
2億5000万元!「超長時間作用型局所麻酔薬」の特許転化に成功 標準必...

Read More

27
OCT
2020
27
OCT
2020
Newsletter: Chinese IP Information (English and Chinese) - Volume 8 Draft Amendment to the Pate...

Read More

27
OCT
2020
27
OCT
2020
特許法の改正案には、特許権の乱用を禁止する新しい条項が追加され...

Read More

  • 1
  • 2
  • 3